ずるい人

おれは社会人、ロシナンテは大学生。
そしてどちらも男。

そんなおれとロシナンテはつき合っている恋人同士だ。

告白はそのとき大学一年生だったロシナンテからで、真っ赤になって告白してきたロシナンテにおれは道を踏み外しているなぁと思いながらも告白を受けることにした。

最初はただの大人へのあこがれですぐに目が覚めるだろうと思っていたけど、三年経つ今もまだ別れ話は出ない。
来年にはロシナンテは社会人となるわけだが、さすがにこのままではまずいだろう。

ロシナンテはせっかく容姿も性格も一流である。
おれはロシナンテを好きだけど、このままではロシナンテは幸せにはなれない。

だからおれはおれの家にやってきたロシナンテを向かいのソファへ座らせ切り出した。

「おれたちもう別れないか?」

突然の別れ話をおれはロシナンテへと言う。
すると目の前に座っていたロシナンテは顔を青ざめてわたわたと驚いた。

「別れるって、なんで」

「このままおれといてもロシナンテは幸せにはなれない。ロシナンテはもう社会人だ。もう現実に戻るべきだろう」

そう告げるとロシナンテはグっと涙をこらえるかのように顔を歪めた。
かわいそうに思うけれど、これは区切りをつけなければならない問題だ。

本当におれかロシナンテが女だったら良かったのに。

「おれは、アキ。おれはアキ以外考えられねェよ」

「ロシナンテ」

「不幸だっていい!それでも、それでもおれはおまえといたい!!」

だから別れたくないとロシナンテはおれに必死に訴える。

ああ、馬鹿だな。

やはりおれとおまえは出会うべきではなかった。
あのとき告白を断るべきだったのだろうか。

すまない、ロシナンテ。

だけど本当はそれを言ってくれると期待していたおれがいた。
おれはずるい奴だよ。

「分かった。別れるというのはなしだ」

出会ってしまい、受け入れたのだ。
そして確認もした。

だから仕方がないだろう。
一緒に墜ちるところまで墜ちよう。

涙を浮かべるロシナンテにおれは立ち上がり近づいた。

きっとおれの顔も同じようになっているだろう。
涙を浮かべるロシナンテの目元に俺はキスをした。

すまないロシナンテ、愛している。







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