ラキスケエース2

最近エースに避けられている。

あのおれがエースを押し倒すという出来事があった後から、エースはおれを見るとわかりやすく逃げる。
おれとしてはあのとき何がしたかったんだ、丸焼きなのか?それとも丸焼きなのか??と問いつめたく思っていたけど、そんなひまさえないくらいに目が合うだけですぐに逃げる。


こうして逃げられるようになってから二週間が経過して、おれはとうとう堪忍袋の緒が切れた。


おれは一人武器庫に入ったエースを追いかけて、突然入ってきたおれに驚くエースの前に立ちふさがり逃げられないようエースに迫った。

「エース、おまえなんでおれを避けるんだよ!」

ギロリとエースを睨んで尋ねる。
一応隊長であるエースにこんなことをするのは礼儀がなっていないけど、ここにはおれたち以外にだれもいないからいいだろう。

「ずっとおれを避けてたよな。なんなの?おれ何か悪いことしたか?ぶつかって倒したことが気にくわなかったのか?それならそう言ってくれ。謝るから。訳も分からず避けられるのはいやだ」

理由も分からないのでは解決しようもない。
だから何かあるのなら話してほしかった。

するとエースは下唇を噛んでおれをキッとにらんだ。
おれは思わずそんなに噛むと血が出ないか心配になった。

「おれだって・・・、おれだって分からねェよ!」

「は?」

「おれだってなんでアキを見ると逃げ出したくなるのか分からねェんだよ!おまえを見かけると、胸が痛くなって、話しかけられなくて。おれだって別に避けたくて避けてるわけじゃねェ!!」

エースは呆気にとられるおれに一気に叫び言った。興奮しているのか息が荒い。
ついでに能力が発動しているので身体が少々メラメラしていて熱いけど、おれはエースから身体を離すのを躊躇った。

「避けたくて避けてる訳じゃねェならなんで避けるんだよ」

「だから分からねェって言ってるだろ!」

「いや、考えることを諦めるなよ。このままエースに避けられるのは寂しいわ!」

「おれだってアキと話できなくて寂しいけど、どうすればいいのか分からねェ!今だって、胸がぎゅってするんだよ」

エースは胸を苦しそうに押さえる。
眉を寄せて本当に苦しそうだ。
おれは少し声のトーンを落としてエースを心配した。

「それってもしかして病気か何かか?」

「病気?これは病気なのか?」

「恋の病だったりしてな!」

おれはついそう茶化した。
まさか男のおれにエースが惚れるなんてないだろう。
ありえないよな。

そう思うのにエースの顔はどんどんと真っ赤になって、倉庫内の温度はサウナレベルに上がった。

ここが火薬庫じゃなくて良かった。
そうだったら反省文ではすまなかっただろう。

「おれは、アキのことが・・・は、いや、何を、ありえねェし。絶対ェありえねェ」

「エース。そうだな、ありえないってことでいいから温度を下げてくれ。ちょっとこの温度は生身のおれにはきつい」

もう正直な話、この反応でエースがおれを避けていた理由は分かった。
いつのまにかおれに好意を持っていたんだろうなこの反応。

でも今はそんなことより、これ今度は蒸し焼きにされる。

おれはエースを落ち着かせようとなだめようとしたけれど、聞こえていないらしくエースは見たこともないくらい真っ赤になりながらも小さな声で葛藤している。

「おれは、アキのことが好き?いや、そんな訳。男だし、でもそれでも、おれは・・・・うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

エースはどうやらキャパシティをオーバーしたらしい。
とうとう悲鳴を上げると、メラメラと炎の固まりとなり部屋から走って出ていった。

扉が開かれたおかげで外の空気が入り、なんとか蒸し焼きの危険からは脱することができたけれど、問題は山積だ。

「エースがおれを好き、ねえ」

びっくりな理由だったけど。
とにかく原因が分かったので良かった。







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