嘘のち嘘

今日はせっかくのエイプリルフールである。
ということで敬愛しているボスである若様に嘘を吐いてみたいが、下手に言って怒らせてイトイトなりさくさくなりされて死ぬのはこまる。
なのでおれは手を考えた。

さっそく王宮の一室で一人掛けのソファに座りくつろいでいた若様を見つけたので、おれは若様に話しかけた。

「フフフ!なんだ、アキじゃねェか」

「はい!若様、おはようございます!」

どうやら機嫌は悪くなさそうな若様はおれが話しかけると声色は楽しげに笑った。
これなら、たぶん殺されないであろうと思う。
たぶん。

「若様、すいませんが今日はエイプリルフールなのでこれから嘘を吐きます!若様、おれ若様のことが大嫌いです!!もうすごく大嫌いです!!」

名付けて先に嘘をつく宣言をしてから嘘をつく作戦だ!
おれはふだんなら恥ずかしくて言葉にできない若様への好意を嘘を吐くことで言ってみた。

殺され・・・ないよな?
殺される可能性はあったけれど、それでも言いたかったので殺されてもこまるけどたぶん後悔はしないだろう。

おれは若様の反応を待ってみるがおれの言葉を聞いた若様は笑顔を崩さなかったが、返事がない。

あれ?殺され・・・ますか?

しかし少ししてから若様はまた笑い始めた。

「フッフッフ!そうかよ、アキ。おれはテメェのことは大好きだぜ?」

「・・・え?」

若様の返事におれの顔は青ざめた。

若様がおれのことを大好きと言った。
そして今日はエイプリルフール。

ということは。
大好きというのは嘘で、若様はおれが・・・大嫌いということか。

エイプリルフールだからと1人浮かれていたおれはとても滑稽だ。


悲しくなって思わずおれは俯くと、頭に若様の大きな手が乗った。

それに殺されるのかと思ったけれど、若様の言葉が思った以上にショックで。
嫌いならいっそ殺してほしいとも思い、その手を受け入れると若様はさらに楽しそうに笑い声をあげた。

「フッフッフッ!おい、アキ。今言ったことは本当だ。嘘じゃねェよ」

「っ?!若様・・・それは」

えっと。つまり本当ってことさっき言ったことは嘘で、大好きということは嘘で大嫌い?
エイプリルフールだから大嫌いは大好きということ?
つまり若様はおれのことが嫌いではないということなのだろうか??

人並みにしか賢くないおれはどうとればいいのか分からなくなったので、困り顔で若様を見ると若様は楽しそうにおれを見る。

「どっちだか知りたかったら、エイプリルフールが終わってから同じ意味のことをおれに言え」

そうしたら答えてやる。

若様の言葉に、おれは首を縦に振るしかなかった。







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