嘘をついてもいいですか?

4月1日、エイプリルフール。

この日ハートの海賊団の船員であるアキは朝からせわしなくクルーへエイプリルフールだからと嘘を言っていたので、ローは自分をいっとう慕っているアキがそのうち自分のところへも嘘を言いにくるだろうことは確信していた。

だから朝の食事が終わってから船の甲板でアキに話しかけられ「船長、あのですね・・」とモジモジと照れながら話しかけられたときローはいったいどんな嘘を言ってくるのかと続きを待っているとアキは意を決したように口を開いた。

「船長。おれ、船長のこと好きです!!」

想像していたものとはどれとも違う言葉にローは沈黙の後に無言で刀を抜くと、キラキラと何かを期待した目でこちらを見るアキを容赦なくバラし船のあちこちへと散らばらせた。





「船長!!朝はすいませんでしたっ!!」

どうにか元に戻ることができたらしいアキは夕方ローの船室へと現れると、土下座をして謝ってきたのでローはベッドで足を組んで座りそんなアキを黙って見下ろした。

「本当にごめんなさい。エイプリルフールだからといって船長に虚言を吐くなんてしてはいけないことをしてしまい本当にすいませんでした!」

無言とともに怒気をまとい見下ろすローにアキは床に頭をすり付けるようにして謝り続ける。
どうやらローが怒ったことが嘘を吐かれたからだと勘違いをしているようだ。
そんな勘違いをして、おまけに先程の言葉が虚言とアキが認めたことでローは余計に機嫌を降下させた。

好きというのが嘘とはどういうことだ。
いままでのおれに対しての好意はすべて嘘だったということなのか。

「アキ、テメェがおれのことを嫌いだったとははじめて知った」

ローは腸がぐつぐつ煮え返りすぎてなにを言えばいいのかまとまらなかったが、思ったことをそのままアキへと怒りをこめて言えば、なぜかアキは顔を上げてぽかんと呆気にとられた顔をした。

「え?おれは船長のこと大好きですよ?もうおれの生から死まですべてをあげたいくらい大好きです!!嫌いなんてありえません」


そんなアキの言葉に今度はローが呆気にとられる番だった。
好きではないと言いながらどういう了見だとローからしてみれば意味が分からなかった。

「テメェはおれのことが好きだということは嘘だと言ったじゃねェか」

「はい!それは嘘です。おれは船長のこと好きではなくて大好きですから!!もう愛しているくらい大好きです!!むしろ言葉なんてたりません」

「・・・。おい、好きの反対は嫌ェだろうが」

「だって、船長に嘘でも嫌いなんて言えませんよ。そんなこと言ったらおれ死にます。介錯なしで切腹します!・・・でも、ということはおれは船長に嫌いだと勘違いをさせてしまったのですね!?ごめんなさい。おれは船長のこと大好きです!!」

アキは馬鹿ではあるが賢くはあるので話の途中で話の食い違いの事実に気がついたらしく必死に弁明してきた。

どれだけローのことを敬愛しているかと言葉を尽くして伝えてくるアキにローは面倒くせェことしやがってと息を吐きながらも、安堵してしまった自分にいらだちを感じた。







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