ラッキースケベ(ロー)
ある日の放課後おれが学校の角を曲がるとちょうど前方から来た相手にぶつかり、その衝撃でおれは相手にのしかかられる状態で二人ともども倒れた。
これが女の子だったらなんという役得だと思うけど、男だったし、しかも同じクラスでそれなりに仲の良いトラ男ことトラファルガー・ローだった。
ちなみにトラ男というあだ名は彼の知り合いらしい後輩が呼んでいたのを聞いてそう呼んでみたところ嫌そうな顔をされたが、「なんだよトラ男かわいいじゃねぇか?」ってからかってみたら顔をそらされ諦めたのか「好きにしろ」という許可が出たので名前を呼ぶときはそう呼んでいる。
そんなローがぶつかった相手で気安い関係だったから良かったのか、女の子じゃないのが残念なような。
複雑な気持ちを抱きながらローがどくのを少しだけ待ってみたけど、なぜか顔をおれの胸に埋めたままどかない。
死んだのか!?
とおれは混乱して、こういうときは下手に動かしたらいけないんだよなという保健の授業で教わったことを思い出して「ロー大丈夫か?」とあだ名を忘れて背中を叩いて尋ねてみるが応答がない。
これまじでやばいんじゃ・・・とオロオロとしていると。
ローの手がぴくりと動いて、おれの体をまさぐり始めた。
「おい、トラ男・・・」
「なんだ?」
「なんだ?じゃねえよ!?くすぐってぇ。こら、何してやがる」
「いや、せっかくの機会だからな」
「何がせっかくの機会だ。あほ。さっさとどけ」
おれの体を際どいところまでベタベタと撫でてくるローはどうやら元気らしい。
非常に心配して損した。
それでもなかなか起きあがらないローの胴を両手で掴み起きあがらせると不機嫌な猫のように目を細めてローはちっと舌打ちをした。
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ラッキースケベ、ローの場合
とりあえずあやかる