ラッキースケベ後

こうしてやってきました約束の日。
学校帰りでも良いと思ったけど、なんとはなしに休日に私は先輩にパフェを奢ってもらうことになった。

あのあとよくよく考えて思い返した自分の行動に恥ずかしくなり、一緒に行くようなお願いじゃなくて駅前のシュークリームとかそういうものにすればよかったと後悔したけれどあとの祭りだった。

でもあとの祭りでも訂正すればよかった。

約束の場所に現れたロシナンテ先輩はもうモデルもかくやといったファッションにプロポーションにビジュアルで、すごく人目をひいている。
制服姿でも格好かったけれど、割り増しだ。

そんなところに現れたのが村人Aの私なのでなんだか申し訳なくなった。


でもロシナンテ先輩って学校では真面目な感じなのに私服は少しビジュアル系なファッションだったのは意外だった。

なのでそれを先輩に言えば服は先輩の兄が見立てたものらしい。

仲がいいなと思った。




それからさっそくパフェのある高級フルーツのお店に入って前に決意した一番高いのはさすがに気が引けたのでいちごのパフェを頼ませてもらえば、先輩はコーヒーだけを頼んだ。

「あの、今更ですがこんなわがままを言ってすいません」

「あれはおれが悪かったことだ、気にすんな。怖がらせて悪かったな」

「いえ、先輩は怖い人じゃないことは知っていましたし。驚いただけで怖くはなかったですよ」

先輩は申し訳なさそうな顔をするけれどそんなこと本当に心配する必要はない。
なんたってドジっ子で有名な先輩だ。見た目はたしかに少し怖いところもあるけれどそのドジっ子が相殺しておつりまで出している。

この店に来るまでにも何度も転びそうになっていたし。

「そ、そうか」

「はい。それに私としてはラッキーです。ここのパフェを奢ってもらえるなんて彼氏だって無理ですし」

もし彼氏ができても大人になったら大丈夫かもしれないけど、学生なのにこんな高級なパフェをおごってもらうなんて申し訳がない。
今回先輩に頼んだのなんていきおいと、チャラになりそうなわがままで、先輩が金持ちだと聞いていたからだ。
それでもやはり悪いと思ってしまうけど。

「っっ彼氏いるのか!!?」

先輩への申し訳なさをつらつらと考えていると、ガタリと今にも飛び上がりそうな勢いでロシナンテ先輩は尋ねてきた。
そんな先輩の問いに驚いて、すぐにロシナンテ先輩が勘違いしていることに気がついた私は慌てて否定した。

「え?いません、いません!そんな彼氏がいましたら先輩と出かけるなんてできませんし」

「そ、そうか。いないのか」

私の発言で私に彼氏がいると勘違いしたロシナンテ先輩はほっとしたように胸をなで下ろした。

たしかにもし彼氏なんかいておれの彼女と何をしている!!って乗り込んできても困るもんね。
私が逆の立場でも焦るし。

・・・あれ?逆に先輩にいたら大変じゃないか

「先輩は彼女いないんですか?」

「い、いねェよ」



・・・え?なぜどもる。
しかも顔が少し赤くなっている。

ウブなのか、それとも本当はいるのか?

「本当に、いませんか?」

「ああ、本当にいない」

「そうですか、よかったです」

先輩はこんなことで嘘をつくような人じゃないと思うので信じて安心してうなずいたら、先輩は彼女がいないということが恥ずかしかったのか顔を真っ赤に染めた。



それからやってきたパフェはもうすごくおいしかった。
蝶ネクタイをつけた店員さんと共に現れたいちごパフェは見た目からして芸術的で、食べるのがもったいないほどで。
それでも上に乗っている様々な色のジェラートを一つ食べると濃厚ないちごが口の中に広がってそれはもうおいしかった。

そんな私の様子をみて「うまそうだな」と微笑むロシナンテ先輩に自分だけ食べるのが申し訳なくて先輩も食べますか?とスプーンでジェラートをすくい尋ねれば、先輩は顔を赤く染めて首をバターになるくらい振った。

うぶだ。




それから先輩とたくさん話して、パフェも無くなったので店を出た。

私はおいしいものを食べて夢心地でそれに先輩とお話するのも楽しかったのでもう少し一緒にいたい気もしたけれど。用事もすんだ訳だし引き留められないとも分かっている。

だって本当なら先輩は雲の上の人だ。
こんな一緒にいられる人ではない。

なのでふつうに先輩に奢ってもらったお礼を言って、また学校でなんて言った。学校に戻ればまたただの同じ学校の先輩と後輩に戻るだけなのに。

私は寂しくなりながらも先輩と別れ背を向けた。
今度こそ本当に悲しくて泣きたくなった。


「ハル!!」


でも、数歩も歩かないうちに後ろから名前を呼ばれた。

思わず振り返ったら先輩が焦ったような顔をしている。
どうしたのかと少し不安になると

「またっ、一緒にどっか行こう!!」


と先輩が言ってくれて。
一瞬幻聴かと思ったけど、確かに先輩は私の返事を待っていてくれて。

「はいっ、私もっ、また先輩と遊びに行きたいです!!」

私は心のまま嬉しすぎて笑顔で先輩へ返事をした。







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