意味を求めては君を抱く 何度好きだの愛してるだの囁いたところで意味はないと白竜は思っていた。 抱き締めた体は細い。自分の胸と彼の薄い胸が重なっても、気持ちは通じあっていないのではないのだろうか。 白竜が好きだと言うと、決まってシュウは「僕もだよ」と言う。だが、その言葉に意味はないのだ。きっと。 「白竜、どうしたの」 シュウが首をかしげる。その動作が愛らしいと感じる自分が嫌になった。 「どうもしない」 「そう」 簡素な返事だ。シュウの受け答えは、常にシンプルだった。 何をするも話すのも自由奔放で、マイペースで、白竜とは全く真逆のタイプ。それがシュウだ。 「シュウ」 白竜が名前を呼ぶと、シュウは困ったように笑った。 「今日も、僕に好きだって言うの?」 シュウが白竜の唇に人差し指をあてながら目を細めた。 「僕たちはどうかしてる。ここでは愛など必要無いことを、白竜だって分かっているはずなのに」 白竜はシュウの手首を掴んだ。痛みにシュウの眉が寄る。 「必要の有無は関係ない。ただ強くなる、それだけだ」 「強さに愛は必要?」 白竜は返事をしない代わりに、シュウの唇を塞いだ。 これは愛ではないのか。なら、何故自分はシュウを求めるのか。 キスが深くなる直前で、白竜の頬に衝撃が走った。シュウに叩かれたのだ。 「白竜、君は失礼な男だ」 「な、に」 「愛してると言うのなら、キスの最中は僕のことだけ考えててよ」 それだけ言うと、シュウは出ていってしまった。もう白竜には何が何やら分からなかった。 ただ言えることは、今は一刻も早くシュウを追いかけたいと思っていることだった。 |