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心臓ふたつ


白竜はシュウとキスをするのが好きだった。
それは普段は余裕なシュウの表情が唇を重ねると途端に切羽詰まったものに変わるからだ。
だから、そこに恋愛感情は無い。ただお互いの快楽の為の行為だった。

今日だってそうだ。
シュウが白竜の部屋に来たからキスをする為に来たのかと思い、白竜は早々にシュウを壁に押さえつけた。
「痛い」
シュウは言うが、抵抗こそしない。
白竜は何も言わずキスをする。シュウの眉間に皺がはいり、苦しそうな声が漏れていた。
「う」とも「ん」とも分からない声が重なり唇を割って舌が入ると、いよいよシュウの余裕が消えていった。
うっすらと浮かんだ涙の奥に、潤んだ瞳があった。それは、しっかりと白竜をとらえていた。
シュウはキスの途中では目を閉じない。
前に「なんで見てるんだ」と訊いたら「見たいから」とだけ返されたのを思いだし、白竜はシュウに悪戯したくなった。
白竜はシュウの服に手を忍ばせた。熱っぽくなった体は、なんだか弱々しい。
「なに、触ってん、の」
シュウの視線が白竜の手に移る。
まだ、ほんの少しだけれど残されているシュウの余裕を、白竜は完全に奪いたくなった。
腹から胸に手を移動させると、シュウの体が一瞬固まった。
「は、くりゅ」
煩い口はとっとと塞いだ。またシュウがキスに溺れるのを良いことに、胸の粒を指の腹で擦ったり押したり摘まんだりしてみた。
すると、今までただ声をあげるだけだったシュウの頬に赤みがさしたのが分かった。
「ん、はくりゅう、」
キスの合間に名前を呼ぶシュウは、いつもの彼とは違って見えた。
白竜はシュウの服を捲り上げると、今度は指で弄っていたそれを舐めた。
「ひゃあ」
甲高い情けない声が聞こえた。
びくびく震える体を見て、白竜は口を開いた。
「何故、抵抗しない?」
舐めたり甘噛みしたりを繰り返しながら訊くと、シュウは舌足らずな声で答えた。
「はくりゅうが、やりたいなら…かまわない、から」
白竜は納得がいかなかった。そんな理由があるか、と。
胸を弄るのは止めて、彼の耳に唇を寄せた。
「シュウ」
名前を呼んだ。シュウは何も言わなかったが、空いた片手を白竜の背に回してきた。
白竜は、閉ざされたシュウの足を膝で割り、その中心に気がついた。
男なのだから仕方がないのだが、こうも主張されると流石に意識する。
「ごめん、白竜…」
シュウの顔がみるみる赤くなる。
でもシュウが謝る必要は無かった。白竜自身も、もう抑えきれなくなっていた。
白竜が止まっていると、シュウが自分から白竜にキスをしてきた。背に回されていた手は、白竜の頬を包んだ。
「ふ、ぅ」
幾度も角度を変えて舌を絡ませた。何度口付けても足りなかった。
今度は白竜がシュウの背に手をまわした。しっかり抱き締めていないと、目の前の儚い少年は消えてしまいそうだ。
これは恋愛感情などではない。白竜はそう思っていた。
だが、恋愛感情ではなかったら、これは一体なんだと言うのか。
説明がつかない感情と手をまわした背の細さに、白竜は惑わされていた。

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