街中で先生を見た。女の人と歩いていた。髪の短い、きれいだけどかわいらしいひと。先生とそのひとは、あつい視線を絡ませて笑っている。先生、わたしにはそんな顔しないのに。
氷の溶けたアイスティーをずーっとすする。喫茶店のソファは死にたくなるくらいやわらかくて、なんだか惨めな気持ちになる。先生はやっぱり大人の女の人の方がいいのかな。わたしなんて先生からすればお子ちゃまでしかなくて、全く眼中にないのかな。
花屋の前で立ち止まった二人は、仲睦まじそうに花を選んでいる。誰に渡すんだろう。わたしだったらいいな。そんなこと、絶対にありえないけど。
今まで先生に褒められたい一心で勉強頑張ってきたけど、先生の隣に立つには女子高生じゃだめだ。でもどうする? ぼーっと二人を目で追う。小さな花束を持って、どこに行くの?
アイスティーからしたたった結露が、広げたまま何も手についてないノートに垂れる。ちょうど、先生にねだって描いてもらった、ザビーくんの所に。 なぜか、ぶわっと涙があふれてきた。 絶対にかなわない恋。
もうすぐ、先生との授業が終わる。 まだ、話したいことあるのに。 まだ、教えてほしいこと、いっぱいあるのに。
:わたしの先生
title 王様へ
|
|