鯉
あ、やっぱばれてるのか。
なんとなくそんな気はしないでもないよーな。
いや、わかってなかったけど。
「いや、ふつう好きだからこそ。でしょ?」
「わたしのこと好きだからこそ。しないでしょ?」
うーむ。
「私に嫌われるようなこと絶対しないでしょ」
はあ。と、俺はひとつため息。
とことん見透かされているような、そんな感じ。
女って怖いな、ほんと。
「今日だけ利用させて。の、5万だから」
「利用されるってことは、つまりは一緒にいるってことなんで、俺的にはむしろご褒美なんで」
受け取れません、そういって、丁重にお返しした。
「バカな人」
ボソッと、彼女はなにか言っていたけれど、俺は気づかないふりをした。
prev next