。
「最後みたくゆーな」
「う、でも、でもね、」
私が顔を上げると、私の顔のすぐ目の前に、原田の顔があって。
「……っ、」
思わず、固まった。
「山川、どっかいくんだろ?」
「…………、うん」
なんで、なんで知っとんかな。
「最近の山川見よったら嫌でもわかる」
「…………、」
「でもね、いまのご時世、どんだけ山川遠くに行こうが、関係ないじゃん」
なんだか、原田の声がだんだん区切れてきた。
「でも、」
「山川はなに心配してんの」
「……………………、」
「そーやって、黙ったりするとこも、人一倍我慢強いとこも、俺ぜんぶすき」
「…………へ?」
いま、なんて?
「他に、なんかいる?
俺、山川が寂しかったら、何処にでも飛んでくつもりだけど?」
開いた口が塞がらないとは、この事なんだろうか。
ほんと、ほんとにわかりづらい。
私が考えてることなんか、一気に覆してしまう。
私は今日、原田とばいばいするつもりだったのに。
「そりゃ、行けん時だってあるし、そこは、勘弁なんだけど。
だから、それまでは、ちょっとだけ我慢強さ発揮しといて」
なんて、私の頭に置いてる、原田の両手の上に、
耳を赤くした原田の顔を、
隠すように埋めた。
ありがとう。
ちょっとだけ。
ほんのちょっとだけ、ばいばい。
私の最愛の人よ。
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