two
「……あ、」
は、これもしかして買いたいんじゃあ、なかろうか!
「あ、あえ、と、す、すみません」
わたしは手に持っていたそのCDを返して立ち去ろうとする。
「買わないの?」
「え、」
「これ」
その人の目は、あんまり大きくなくて、はっきりした二重瞼で、少し垂れてる、眠たそうな目をしていて。
その人の声は、低いか低くないか微妙な声で、だるそう、というか、ぼそぼそ喋る感じで、でもなんだか、落ち着く声をしていて。
「あ、聞いたことないから…」
わたしは、思わず目をそらしてしまった。
「そう」
その人の声のトーンが、少しだけ、落ちたような気がした。
「あ、あの、」
「なに?」
わたしは、そらした目をその人に合わせた。
「…いい曲、ですか?」
ちょっといつもより、声が高い。
緊張してる、しすぎてる。
声がぼそぼそとしかでてない、小さい声。
目の前のその人は、目を丸くしてた。
あ、そのCD、聞いたことあるかなんてわかんないかも、知れないのに。
うわ、何きいてんだろ、ばか、わたし。
その人は、丸くしていた目を、戻した。
それと同時に、口許が緩んだ。
「うん、俺は気に入ってる」
その人は、すごく、
笑った顔が優しかった。
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