愛しい
ねぇ、
ねぇ、
バレンタインですよ!
バレンタインなんだよ!
“俺、手作りとか無理なんだよね”
って何よー!!!
「どうおもう!?」
「どうって…俺に訊くなよなー」
「仮にも彼氏なんだけど…」
「どんまい」
…………素っ気なさすぎだろう、幼馴染みよ。
「エロ本なんか読んでんじゃねーよ」
ボソッと吐き捨てるように言ってやると、拗ねた顔でこっちを向く幼馴染み。
「お前はこの本の面白さをわかってない」
「……わかりたくもねーよ」
「だからモテねーんだよ」
「いま彼氏いますし」
「……浮気されてんじゃねぇの?」
あ、目の奥が熱い。
口が震える。
「…………それ言っちゃダメなんだよー、」
「おい、泣くなよ」
下を向いてぎゅっと口を紡ぐ。
幼馴染みが言ったから気づいた涙は、もう溢れる寸前で。
「ばあーか」
「どんだけ大好きなんだよ」
あ、頭撫でてくれてる。
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