例えばそう、手を振ってみる
カラカラカラ、と古い窓をゆっくりと開けてみる。
風がすっと入って私の首元をくすぐる。
私は腕を組んで窓枠に体重をのせて、住宅街を眺める。
うーん、蒸し暑いなぁ。
だいぶ涼しくなってきた方なんだろうけど。
私のいる部屋にはエアコンがガンガンについていて、外にいる人達はこんな生ぬるい風でも涼しく感じられるんだろうな、なんて、思った。
「あっちぃー、」
そんな声が聴こえてきたもので、私は下を見てみると、チャリを押して歩いている短髪のお兄さん。
私とおんなじ位の歳かなぁ。
ばりばりの中高生だな、制服着てるし。
彼の片手には冷たそうなアイス。
あぁ、だからチャリ漕いでないのか。
うん、納得。
てか、美味しそーだなぁ。
私も食べたいなぁ…。
ふと、目が合った。
私のガン見で視線飛ばし過ぎましたかね?
彼は私をみて不思議そうな顔をしている。
なんか、反らすのもなぁ、と思ってひたすらガン見。尚ガン見。
「あ…、そうだ」
私は思いついたように、笑顔を作って彼に手を振ってみた。
不思議そうな顔のまま、手を振りかえしてくれて、次第に彼は笑顔になった。
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