夜明け前の前 R18 *帽子屋視点

*夜明け前の空の続きですが、
時間軸で云えば少し前のお話です。




彼の腰を強く抱き寄せれば、
腕が自然と俺の首へ、まわる。

口付けを互いの吐息を
奪い合うほど深くすれば、
悩ましげな声が彼の口から漏れる。

「…ふっ……ぁ、……んっ…」

名残惜しげに唇を離せば、菫色の潤んだ隻眼は欲情の色を含ませて俺を見詰める。

その朱く上気した頬を、濡れそぼった唇を優しく撫でて、俺は目を眇めて微笑む。

「………可愛い」

昼間のストイックさは鳴りを潜め、欲に浮かされた彼の綺麗な顔は、俺の熱情を煽る。

もう一度、深く口付けを交わしながら、彼をベッドへと押し倒した。

舌で歯列を舐め、こじ開けて咥内を縦横無尽に貪る。舌を絡め合い、飲み込み切れなかった唾液は口端から零れ落ちる。

「んっ…はぁ……ぁんっ」

息苦しくなるほど、求め合う。

それから彼のきっちりと上まで留めてある軍服の詰め襟を外し、首筋をあらわにして口付けを落として行く。
強く吸えば、ぴくりと肌が震え、簡単に朱い印が刻まれる。それが愉しくって、幾つも印を首筋、鎖骨、胸元へと散りばめてしまう。
白い肌に映えるそれは、俺と揃いの赤い薔薇のタトゥーのようだ。

彼のシャツを脱がし、胸の飾りに指をかけて弄ぶ。

「っん……ぁ………ふっ…」

指先で弾いたり、捏ね回したり、時折軽く引っ張ったりすると、それは赤くなり芯を持って硬くなる。
もう片方の乳首も、美味しそうに色付くと吸い寄せられるように口づけた。

「ぁ、あっ……やぁ、あぁんっ!」

舌で突いて、ちゅっと強く吸うと彼の身体がびくりと反応して甘い嬌声が零れる。

可愛い―――。

大の男に対して云う形容詞ではないことは判っている。それでも可愛いとしか表現できない。
普段からは想像できない彼の、はしたなく乱れる姿は壮絶に色っぽく、そして可愛いのだ。

胸への愛撫を施しながらも、右手は下へとずらしていく。服の上から、彼の形を捕らえ撫であげる。

「あっ、ダメ……っだ…」

「逃げるな。気持ちいいんだろ?」

鋭敏になった感覚から無意識に逃がれようとする腰を捕まえて、そのままズボンと下着を一気に脱がしてしまう。


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