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Cat Ear Party
「珍しいものを手に入れた―――。」
ある日、帽子屋がそう云ってみんなの前に置いた物は一本のビンだった。
翡翠色のガラス瓶で一見すると、普通のワインボトルにしか見えない。
ヴィンテージもののワインなのか、ラベルはどこか古めかしく感じるが、どう珍しいのかは見ただけでは判らない。
「ある商人から手に入れたものだ」
「…あっ!もしかして、これって…!?」
帽子屋の意味深な言葉に反応したのはチェシャ猫だった。
「さすが、チェシャ猫。お前は知っているみたいだな」
帽子屋は得意げに口角を上げて微笑む。
「そんなに珍しいものなのか?」
真琴の問いにチェシャ猫が瞳をらんらんと輝かせながら説明する。
「この国の東の果てにね、樹齢1000年のまたたびの木があるらしいんだけど、その木から取れる実でしか造らない、猫のあいだでは誰もが一度は飲んでみたいと言う………幻のまたたび酒!!」
『幻のまたたび酒ぅぅう〜〜〜?!』
チェシャ猫と帽子屋以外から、不信感丸出しの声が上がる。
「あ、怪し過ぎる……」
と少し引き攣った顔の白うさぎ。
「毒なんじゃないの?」
と物凄く胡散臭さげな面持ちのやまね。
「…………………」
ダムに至っては呆れて云う言葉も見つからないらしい。
そこに、持ち前の好奇心さで、アリスは興味津々に身を乗り出して聞いてくる。
「それって人間も飲めるの?」
「ああ、猫はもちろん、人が飲んでも害はない。それに美味さは格別だ」
「へぇー、面白そうじゃない」
帽子屋が答えながら、手にしたワインナイフでソムリエさながらにビンのコルク栓を抜く。
「それほど強い酒ではないから真琴やアリスでも飲める」
この不思議の国では15歳になると飲酒可能になる。けど、まだ飲み慣れていない二人には飲みやすいお酒だと云う。
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