さっきのように媚びたり、猫撫で声を出したりするのも鼻につくし、毛は飛ぶし、猫臭いし、見ているだけでもムカつく。

兎に角、チェシャ猫のなにもかも嫌いで、やまねは気に入らなかったのだった。


やまねがチェシャ猫にそんな感情を抱えつつ、真琴を挟んで、いがみ合っていると他の仲間たちが一応仲裁らしきものをしてきた。

「お前ら、いい加減にしろよ!」
引率の先生みたいに注意する白うさぎ。

「痴話ゲンカなら他でやってくれ」
我関せずな帽子屋。

「そのエネルギーを、他のことに費やした方が建設的だ」
少しズレた仲裁をするダム。

そして最後に、
暑さと騒々しさに苛立ったアリスが、

「……二人ともいい加減に、その暑っ苦しいケンカをやめないとバリカンで毛を刈るわよっ!!」

ドスの効いた脅しによって、その場は丸く?収まるのだった。




目的の場所に着くと、まず、二手に分かれて調査をすることにした。

一組は帽子屋、ダム、アリス。
もう一組は白うさぎ、真琴、やまね、チェシャ猫に分かれる。

やまねとチェシャ猫の取り合わせは、トラブルの元だったが、どちらも真琴について行くと頑として譲らないため、引率兼、ケンカの仲裁役として白うさぎに一任された。

真琴たちは、アリスたちと別れると早速、村の東側の森から調べ始める。

木々の間から木漏れ陽が差し、暑さを和らげている。森の中は至って平和で、モンスターが現れるような感じはしない。

暫く、森の中を調べ歩き回ると、ゴツゴツとした岩場に出た。
するとそこに大きく口を開けた怪しげな洞窟を発見した。

「うわー、いかにもって感じだね〜」

チェシャ猫が暗い洞窟内を覗き込む。

その横で白うさぎはうーんと唸なり、逡巡したあと、チェシャ猫に視線を向けた。

「真琴を連れて行くのは危険過ぎるし、チェシャ猫、お前が行ってくれるか?」

「もちろんっ!まかせてよ!」

白うさぎに指名されて、チェシャ猫は嬉しそうに返事をする。

「あと、やまね、お前も…」

「僕は行かないよ!真琴を守るのが僕の役目なんだからっ!白うさぎとバカ猫が行ってくればいいだろっ!」

「やまねと真琴ちゃんを、一緒に残しておく方が危ないよ!」

「ふんっ!バカ猫は暗い所はお得意だろ?なんなら、そのまま住み着けばいいんじゃない?」




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