快楽に翻弄されて顔を歪める帽子屋にそそられる。その帽子屋の妖艶な姿に白うさぎは思考も身体もおかしくなっていた。

「くうっ……、もうイきそうだっ…!」

激しく動かしていた腰を引いて、帽子屋の中に埋めていた自身を抜こうとする白うさぎに、

「ま…待てっ…あ……抜く…なっ」

と、云って帽子屋は白うさぎの腰に脚を絡め、引き留めてしまう。

「っ!ちょっ…もう、マジでっ……ヤ、ヤバイ…って!」

「い、いいっ……!んっ…この、ままっ…な…中に、出せっ……!」

「っ……!!」

色香を振り撒き、魅惑的な殺し文句に一気に絶頂感を煽られる。

「クッ……クソッ!…もう、止めらっ…れねぇ……から、なっ!」

帽子屋が眉間に皺を寄せて、いつもとは違う表情で微笑む。

欲に溺れた白うさぎの紅い瞳が肉食獸のようにギラギラと光っていた。
今、目の前にいるのは紛れも無い、盛った雄の顔をしていた。

「…いい……っ、う…うさ…ぎ、ちゃっ……なら…あっ、ああぁーーっ!」

まだ言葉の途中だったが、白うさぎがラストスパートを駆けて、さらに腰の動きを強く激しくすると、後に続く帽子屋の言葉は意味をなさなかった。



ヤッてしまった………。
正気に戻り、白うさぎは青ざめた。
この状況に………。

横で満たされたように眠る帽子屋を複雑そうな視線で見て、整った綺麗な顔に張り付いた髪を払ってやる。

なんだかんだ云って思わず、構いたくなって世話を焼いてしまう自分に白うさぎは苦笑する。

いつもはプライドが高く、素直になれないのに、酔った時だけこんな風に甘えてくるのは反則だと思った。

でもまあ、取り敢えずは、
今年も盛大に誕生日パーティーをして
祝ってやろう。

辛い思い出、悲しい記憶を
上書きするように、
楽しい誕生日に、
忘れられない誕生日してやろう。



そして、もう一つ、
目下の大きな問題に気付き、
白うさぎは深く溜息を零した―――。

明日の朝、帽子屋にどんな顔をして
会えばいいのだろうか………?

白うさぎは長い耳をへちょんと下げて、
頭を悩ますのだった。



end.


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