アリスに連れられてやって来たのは、星空が良く見える広いテラスだった。

そこには既に、きらびやかに色とりどりの折り紙などで、飾りつけされた立派な笹が立っていた。

「どぉお?すごいでしょ!さあ、あとはこの短冊を飾り付ければ終わりよ」

手に握られた、たくさんの短冊をアリスは手際良く、次々に笹に付けていく。

そんなアリスの様子に、ポチはちょっとした疑問が湧く。

「アリスさんは、何をお願いしたんですか?」

「可愛い洋服がいっぱい欲しいでしょ。いくらお菓子を食べても太りませんようにでしょ。最新鋭の武器が欲しいに、あとは使える従順な悪魔のディスクが欲しいと………えーと、それから…」

思いだそうと指折り数えるアリスに、ポチは呆れて冷ややかな眼差しを向ける。

「………いくつ書いたんですか?」

「三十枚くらいかしら?ほら、たくさん書いておけば、絶対いくつかは叶うじゃない♪」

なんか方向性が間違っているような気がするのは気のせいか?
ポチが首を傾げていると、今度はアリスが満面の笑みを浮かべ、興味津々に聞いてきた。

「で、ポチは何て書いたの?」

アリスの期待に満ちた、今にも零れ落ちそうなくらいの大きな蒼い瞳。
それをじっと見つめ返すポチ。

二人の間に緊張感にも似た空気が流れる。

「……内緒です」

一言、ポチがボソッと漏らすと、ピシッと空気に亀裂が入ったような気がした。

「っ!ケチケチしないで教えなさいよ!上官命令よ!!」

「そんな命令には従えません!」

静寂を破って、二人の周りの空気は一気に加熱する。

ポチの隙をついて奪おうとするアリス。
それをひょいと腕を高く上げて、アリスの攻撃をかわすポチ。




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