「おっ!チェシャ猫!よかった!元に戻ったんだな」

翌朝、起きてきた真琴が声をかけてくる。

あれからチェシャ猫は宿に帰り、そのまま疲れて寝てしまい、朝起きたら何事もなかったように人の姿に戻っていた。

あれは夢だったんじゃないかと思ったけど、赤い薔薇の花片が一枚、ベッドの中に紛れていた。

多分、薔薇園のものが身体にくっついてきたのだろう。

チェシャ猫はその花片を取り出し、くんっと嗅いでみる。
その匂いはあの時誓った気持ちを蘇らさせる。

「よーし、今日もモンスター退治に、ハートの王の城を目指して頑張るぞっ!」

「なんか、随分とご機嫌だな」

「当たり前だよ!やっと、人間に戻れたんだから!」

テンション高く、チェシャ猫が張り切る。



早く伝えたい。
王様が大好きだって。

そしてまた、
あの甘い香りがする薔薇園で
顔をたくさん舐めてあげよう――――。





end.



おまけ

アリス「ねぇ、真琴」

真琴「うん?」

アリス「幻のたんぽぽの花とか、伝説のたんぼぼコーヒーとかってないのかしらね?」

真琴「……それは流石にないと思うぞ」

帽子屋「いや、あるぞ」

真琴&アリス「ええっっーー!!」

帽子屋「……嘘だ」




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