そして当然、あっちからも悲鳴が上がる。

「うわあぁぁっ!!み、耳が短くなってるっっ!!尻尾が長いっっっ!!」

「…こ、この僕が猫耳なんて……屈辱だ」

白うさぎとやまねが頭を抱えて、叫んでいた。

確かに白うさぎの耳はいつもの長い兎耳じゃなく、三角の白い猫耳と長い尻尾がうなだれている。
やまねも、いつもは帽子で隠されているネズミの耳が猫耳化していて、帽子では隠し切れずに、はみ出していた。

そしてこっちからは、

「やーーん♪ダム、可愛い♪」

「ア、アリスっ!あまり触るなっ…つ!」

酔っていつもよりテンションが上がったアリスがダムの頭に生えた猫耳をもふもふと触りまくって、ダムを酒のせいだけじゃなく、顔を赤らめさせていた。

もちろんアリスの頭にも可愛らしい猫耳が……いや、正確には身体が真琴の頭に猫耳がくっついている。
おまけにその自分の身体が、ダムを襲っているようにも見えて、真琴に精神的ダメージを大きく与えるのだった。

そんな部屋の惨状を唖然と見ている真琴の、背後から魔の手が忍び寄る。

「うわっ!?」

いきなり腰に回った腕に強く引かれ、真琴はバランスを崩しソファーに倒れ込む。
帽子屋が真琴の猫耳に触れようと、自分の腕の中に閉じ込めたのだ。

帽子屋がしげしげと見詰め、真琴の猫耳に優しく触れる。

「……しかし想像以上に愛らしいな」

「……っん!…やっ!」

酔いも手伝い、真琴は人の時よりも耳の感覚が敏感になっている。
普段、チェシャ猫が耳を触られるのを嫌がる気持ちがわかる。

帽子屋は手の愛撫だけでは飽き足らず、片耳に息を吹き掛け、そして舐めたり甘噛みしたり、口での愛撫を施す。

「あっ!……やめっ…ろ…っん!」

執拗な耳だけの愛撫に真琴は理性を崩しそうになる。

いつもと変わらない、帽子屋の意地悪く楽しげな顔がひどく悔しくて堪らない。

ん?……いつもと変わらない………?
ハッと真琴が気付く。




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