グラスに注がれる液体はピンクがかった乳白色で、ほのかに甘い薫りを漂わせる。

その様子を尻尾をパタパタ揺らしながら見ていたチェシャ猫は、真っ先に注がれたグラスを手にして、

「いただきま〜〜す♪」

と待ちきれずにグラスを煽った。

「ぷっはっー!おいし〜〜い♪」

「……あ、うまい!」

「うん、口当たりが良くって美味しい!」

チェシャ猫に続いて、お酒を口にした真琴とアリスからも感嘆の声が上がる。

他の皆も気に入ったらしく、直ぐに『幻のまたたび酒』のビンは空になった。

しかし、それだけでは飲み足らない白うさぎたちは他の酒も飲み始めて、プチ宴会状態になってしまった。

そのうち真琴は飲み慣れていないせいか、酔いが回ったのか、なんだか妙に頭のてっぺんと腰の辺りがムズムズしてきた。

違和感が治まらずに手で頭を触ってみる。
髪とは違う、なんだかとても柔らかい物が手に触れ、それがピクッと動く。

もう一度、恐る恐るさわる。
と、自分で触れたものからゾクリとした感覚が走って真琴は驚いた。

「わあぁぁぁーーーなんだよ!これ!!」

「言い忘れていたが、害はないが軽い副作用がある」

「はあぁ?!おっせえっーーよ!!」

確信犯的な微笑みを浮かべる帽子屋に、食ってかかった真琴の頭には、それは可愛いらしいひょこっと生えた猫耳と、腰からはふわもこな長い尻尾が生えていた。




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