白うさぎが思考のなかをさ迷っている間も、アリスの話はまだ続いていたらしく、

「………っても『好き』っ!」

「………!!ち、ちょっと待て……えっと、今のはタンポポの話だよな?」

「そうよ。他に何があるっていうの?」

アリスのことを考えてぼっーとしていたら、つい『好き』という言葉にドキリと反応してしまった。
勿論、アリスに他意はないのだろう。

白うさぎはアリスを意識し過ぎて顔に熱が集まり、それを隠すように口元を手で覆った。

そんな白うさぎは気にせず、アリスは相変わらずマイペースで事を進める。

「そんなことより、もう、お腹がぺこぺこよ。さぁ、とっとと帰るわよ!白うさぎこれを持って!」

甘い気分でいた白うさぎは現実に引き戻される。アリスに渡されたのは、会った時から気になっていた、サンタクロースが持つようなデカイ袋。
確かここからタンポポを出したような…。

「っげ!こんなに採ってきたのかよ…」

「嬉しいでしょ♪タンポポ食べ放題よ!」

「俺でも食べ切れねぇーよ……」

「情けないわね。男ならこれくらい食べなさいよ!」

二人はいつもの調子に戻り、楽しげに言い合う。

そして仲良く、仲間が待つ場所へ帰っていくのだった――――。



タンポポの花言葉:『真心の愛』


end.



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