アリスと白うさぎが喧嘩してから、早三日目。日増しに空気が重くなっていた。

白うさぎが全面的に非を認めているので早々に決着がつくかと思いきや、アリスが完全に白うさぎを無視している。

最初は面白半分で見ていた真琴たちも、流石に険悪になる一方なので、仲を取り直そうとするが、アリスが全く取り合わず膠着状態が続いていた。

「はあぁー……」

「元気だせよ、白うさぎ」

大きな溜め息をついて、テーブルに突っ伏した白うさぎを真琴が励ます。

「言い過ぎだった部分もあるけど、その前の言葉はアリスを心配して言ったんだろ?」

「そうだけど……」

「もう一度ちゃんと謝れば許してくれるって!」

「真琴ぉ………」

いつもは頼もしい兄貴役のはずの白うさぎが、今は情けない声で真琴に泣き付く。

「アリスも意固地になって、引くに引けなくなっているだけかもしれないし」

「…………そうか?」

「それでもダメな時は、洋服でも買ってやれば機嫌も直るって!」

「あぁ、そうだな!こんな所で燻っていてもしょーがねぇ!もう一度、アリスんとこいって謝ってくらぁ!」

割と単純に立ち直った白うさぎに水を差すように、通りがかった帽子屋が口を挟んできた。

「アリスなら出掛けたぞ」

「えぇっ!どこにだ?!」

「確か、街道沿いの西の森って言っていたが」

「っな!!またアイツはっ!帽子屋もなんで止めなかった!あそこはまだ、モンスターの残党がいるかもしれない場所だぞっ!」

白うさぎはそう言って剣を引ったくるように掴んで、止める間もなく宿を飛び出して行った。

「俺たちも追いかけよう!」

「いや、その必要はない」

真琴も出て行こうとしたが、帽子屋に腕を掴まれて止められる。

「心配するな。そのうち二人で、何事もなかったように仲良く帰ってくるさ」

と帽子屋お得意の意味ありげなニヤリ顔をするのだった。




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