チェシャ猫が一人ぐるぐるしていると、

「そうだっ!チェシャ猫!!私が泣いたことは皆には黙っているのよ!」

いいわね、とアリスらしく釘を刺してきた。

泣いたり、笑ったり、怒ったりアリスの表情は豊かにころころと変わる。いや今は真琴の顔で………?

え、ええっっーー!?
俺はどっちが好きなのっっっ!?

そう、嵐は確実にチェシャ猫の心に
何かを連れてきたのだった――――。

「どうしたの?チェシャ猫」

と上目使いでアリスは小首を傾げる。
またその仕草にチェシャ猫はドキッとしてしまう。

「ううっ……な、なんでもないよ〜…」

「変なチェシャ猫ww」

アリスは真琴の顔で楽しそうに無邪気に笑う。

すっかり、気が紛れて目が冴えてしまったアリスは、結局チェシャ猫を付き合わせて明け方近くまで話をした。
チェシャ猫の気も知らずに、睡魔が訪れるまで盛り上がってしまった。



翌朝――――――。
台風一過の如く嵐が去り、いい天気になった。

朝食の時間になっても、なかなか起きてこないチェシャ猫とアリスを、真琴と白うさぎが起こしに行く。

だけどチェシャ猫は部屋にはおらず、アリスの部屋で二人仲良く一緒に寝ているのを発見した。

「なんでコイツら一緒に寝てんだ?…それになんか、こんなに嬉しそうな自分の寝顔って……複雑」

「……まぁ、いいんじゃねぇか?幸せそうだし、微笑ましくって」

真琴も白うさぎも呆れたように二人の寝姿を見入るのであった――――。



end.


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