「メリークリスマス」 「え、今日26日だけど」 ドアを開ければそこにはケーキ屋の紙袋を持った彼氏の豪炎寺がいて開口一番「メリークリスマス」。今日は12月26日。クリスマスは昨日だ。 「入るぞ」 私の言葉なんか聞こえてないような態度で豪炎寺はすたすたとリビングへ向かった。 「で、なんの用でございましょうか」 私は豪炎寺の隣にぼすっと腰掛けた。相変わらず座り心地の良いソファーだ。 「なんだ、怒ってるのか?俺は渉とクリスマスを満喫するために来たんだが」 「今更、別に」 豪炎寺は私を気遣って来てくれたのだろう。しかし私はこの前豪炎寺に言われた「クリスマスは家族と過ごす」という言葉を未だに根に持っていた。豪炎寺が家族を大切に思っているのは知っているし私が豪炎寺のことを好きな理由の一つでもある。だがあまりにも即答されたので私は本当に彼女だと思われているのだろうかと心配になった。私の気持ちを察したのか豪炎寺は私の肩を引き寄せて口を開いた。 「昨日は悪かった」 「別に謝らなくてもいい。私が勝手に夕香ちゃんに嫉妬してただけだし」「…!」 「豪炎寺?」 急に黙ってしまった豪炎寺の顔を覗くと顔を真っ赤にしていて目を合わせてくれない。 「嫉妬してくれたのが嬉しいって言ったら、怒るか?」 「あー…、いや、怒らないよ」 こんな可愛い豪炎寺を見れたんだ。怒るはずがない。 「そうか。…渉、1日遅れたけどメリークリスマス」 豪炎寺は微笑んだ。あぁ、その顔は反則。 「お前はいつも遅いんだよ」