「好きだよ」 そっと彼女の耳元でそう囁くと彼女は少し頬を朱色に染めて僕に微笑んだ。 「私も、好きだよ」 彼女が恥ずかしそうに呟いた言葉に僕は思わず胸がくすぐったくなった。何度こうやってお互い愛を確かめ合っただろうか。何度愛の言葉を伝えただろうか。だけどそれでもまだ足りないんだ。いくら僕が好きだと伝えても、彼女が僕に好きだと伝えても。 昔僕は自分を"神様"だと謳っていた。まるで自分が全ての人間の上に立っているかのような言いぐさで。今思えば馬鹿馬鹿しいな、なんて思う。だけど今は違う。僕は神様なんかじゃないし彼女の前じゃただの男だ。ずっと前に"神様"と謳う僕とはもうさよならした。 「ずっと一緒にいよう、渉姉さん」 僕が悲しげに微笑む彼女にそっと口づけると、それに応えるかのように彼女は僕を受け入れた。 愛する君に、謳う言葉。