マクロスF 長編 | ナノ

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『ねぇ アル』

「なに?」

『アルは、本当の“海”を見た事ある?』



「……夢…」

懐かしい夢を見た
昔 幼馴染がそんなこと言っていたな…なんて思いながらゆっくり起き上がる
夢に幼馴染が出てきた事に顔が緩む

「なんか良い夢でも見たのか?アルト姫」

「姫じゃねーよ」

夢に浸っていた俺を現実に連れ戻したのは同じ部屋のミハエル・ブラン

「さっさと朝飯食いに行くぞ “ウミ”ヲタク」

「“ウミ”ヲタクじゃねーって言ってんだろ」

「その割には、銀河の女神“ウミ”のDVDとか持ってるだろ?」

「あれは…友達に持ってろって言われてんだよ」

「友達な〜」

そう言いながらニヤニヤするミシェルを見て悪態を吐きながら食堂に行った
説明し忘れてたが、ここは民間軍事プロバイダーS.M.Sの宿舎にいる
俺は最新鋭可変戦闘機VF-25を擁するスカル小隊の一人としている
まぁ いろいろあったんだがな



【「今日のニュースは、銀河の女神こと歌手の“ウミ”さんがギャラクシーでのツアーライブを終え、また新たな船体に行くそうですね」

「しかし、どこの船体に行くのかは御本人に聞いたところ『楽しみにしていて下さい』と言うことで、未だにわからない様子なんですよ」

「フロンティアに戻って来て下さると嬉しいですね〜」】

携帯で“ウミ”のニュースを見て俺は無性にも会いたいと感じてしまった
言い忘れていたが今は学園の屋上で昼食を喰っている
そして俺は美星学園高等部航宙科パイロット養成コースに通っている

「少しは“ウミ”から離れたらどうだ?」

携帯の画面を覗きこむのはミシェル
こいつも同じコースのNo.1で優等生

「先輩は本当に“ウミ”が好きなんですね」

今のはルカ・アンジェローニ
本当は俺の後輩だが飛び級する程頭が良い
まぁ年齢的には後輩だがな

「だから“ウミ”の事は考えてねぇよ」

「アルトそればっかり言ってるけど“ウミ”のニュースをずっと見てるじゃない
こんな近くに銀河の妖精“シェリル・ノーム”がいるのに」

俺に悪態を吐けて来るのは銀河の妖精ことシェリル・ノーム
シェリルの出すアルバムは銀河チャートで“ウミ”と“ランカ・リー”とで一位を競う程
この銀河に暮らしていてシェリルの歌を聞かない日はないと言う程の有名

「でもアルト君は“ウミ”が好きなんでしょ?」

そう問い掛けてきたのは超時空シンデレラの異名を持つランカ・リー
ランカもシェリルと“ウミ”と同じ一位を競う程
後 ここには居ないがランカや俺の級友の松浦 ナナセ
美術コースを取っていて絵を提出に行っている
ランカは美星学園芸能科
シェリルは俺と同じパイロットコース
説明はこんなもんか

「…まぁな」

「やっぱりヲタクじゃないの?」

「だからそう言うのじゃねーって」

そう言って織った紙飛行機を持って屋上の手摺まで行きフロンティアのソラを眺めた










『ねぇ アル』

「なに?」

『アルは、本当の“海”を見た事ある?』



「シャーリー 起きなさい」

誰かに起こされ 夢から醒めた
とても懐かしい夢を見た気がする
昔 幼馴染に言ったな…なんて思いながら私を起こした人物を見る

『…アイリス 私ずっと寝てた…?』

「えぇ 気持ち良さそうにぐっすりと寝てたわ」

皮肉そうに言うのは私のマネージャーのアイリス・ミラー
そして私とアイリスは次の船体へと降り立った
言い忘れてたけど 私はシャーリー・クロア
きっと名前だけ言われても一般の人って思うけど、銀河の女神“ウミ”って言ったらわかるかな
それが私なんだけど これでもアルバムを出したら銀河チャートの一位を競う程なんだからね
まぁ 銀河の妖精“シェリル・ノーム”や超時空シンデレラの異名を持つ“ランカ・リー”は私の中ではライバルって思っている
会った事ないけど会ってみたいと思っている
ところで私が今何処にいるのかと言うと…

「久しぶりのフロンティアはどう?」

そう、ギャラクシーでのライブが終わり 次のライブがフロンティアで行われる事になって久々の里帰りってやつも兼ねてフロンティアに今着いたところ

『三年の間にいろいろ変わってるな…』

三年は長いようで短いように感じた
離れている間はいろいろ変わったな〜なんて思いながらフロンティアの街を見ていた

「…シャーリー ホテルに先に行くわよ」

『はーい』

そう言って私達は近くに予約していたホテルへと向かい、荷物を置く事にした



「…ところで両親に会いに行かないの?」

ホテルに着き、荷物を置いた私達
そしてアイリスの言葉に私は少し考えた
私がまだ凄く幼かった時に両親が事故で亡くなった
でも本当は戦死
両親はS.M.Sのパイロットだったんだけど、小さい時に戦争に行って帰らぬ人になった
周りには公開していないし、してはいけない事になっている
アイリスは私が両親の命日の時に帰りたがってたのを知っているから、その気遣いが凄く嬉しい

『…後で会いに行くつもり、それにあの人にも…』

「…美星学園よ、あの子が通っているのは」

『もちろん 行くわ』

「……いいわ、でも帽子は取ったら駄目よ」

『わかってるよ アイリス』

「いいわ、それじゃあ行くわよ」

そしてホテルの地下駐車場に停めていた黒い車に乗り 美星学園へと向かった






再会まであと少し
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序章の編集完成致しました!
ついに全ての編集が終わりました!


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