まだまだ可愛い男の子
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『鳴くん、お待た』
「せんぱーい!梨央せんぱーい!」
待ち合わせである公園の入り口に着いた途端、勢いよく少し高い赤髪の彼に抱き締められた
『おはよ、鳴くん 待たせちゃったかな?』
「ワイもさっき来たとこや!
それに梨央先輩と2人ではよ会いたかったし」
そんな嬉しい事を言ってまた抱きしめてくれる鳴くんの背に手を回して抱きしめ返した
目立つ事が好きな彼の名前は鳴子章吉くん
総北高校自転車競技部で1つ下の後輩くん
私は鳴くんの1つ上の先輩でマネージャー
そんな私と鳴くんは恋人同士で、珍しく部活が休みで久しぶりに2人で出かける事を前から約束してたの
「今日はいーっぱい遊ぶで!」
『鳴くん、凄い元気だね』
「当たり前やろ?
ワイの大好きな人と2人で休日を一緒に過ごせるんやで?
こぉんな幸せな事やのに、テンション上がらんわけないやん!」
カーッカッカッカッ と笑いながら私の頭を撫でる鳴くん
私は鳴くんの言葉に頬が紅くなっているのがバレないように、少しだけ顔を伏せながら2人で歩き出した
「あ!ここ、ここやで!」
鳴くんに連れてきてもらったのは、千葉で珍しいたこ焼き屋さん
鳴くんが住んでいた関西では至るところにあるんだって
『ここがさっき言ってた、鳴くんおすすめのたこ焼き屋さんなの?』
「せやで!ここのおっちゃんがめっちゃ気前のええ人やねん!
ワイ、何度かおっちゃんにたこ焼きをおまけしてもうてんねん!」
太陽みたいな笑顔で言う鳴くんに、私も自然と笑顔になる
そして、鳴くんおすすめのたこ焼き屋さんへと向かう
「おっちゃーん!来たでー!」
鳴くんが大きく手を振りながら、店先でたこ焼きを焼いているおじさんに声をかける
「おぉ!チビちゃんか!」
「誰がチビやねん!!」
おじさんは ガハハ と笑いながら鳴くんと話す
鳴くんはかなりこのたこ焼き屋さんの常連さんみたい
すると、おじさんの視線が私に向けられた
「チビちゃんの隣にいる子は誰なんだ?
初めて見る子だが…、もしかして チビちゃんの彼女かぁ?」
私から視線を移し 鳴くんをにこにこしながら見つめるおじさん
すると、私の肩を勢いよく抱き寄せた鳴くんに私は抱き着く形になってしまった
「カーッカッカッカッ!おっちゃんの言う通り、今日はワイの可愛い可愛い彼女を連れて来たんや!
ここのたこ焼きが美味いから、ワイの可愛い彼女にも食べさせたくて!」
「ガッハハハ!そうかそうか!
彼女さんの前で、チビちゃんにそこまで言われちゃ仕方ねぇ!
今日もサービスしてやるから、チビちゃんの可愛い彼女さんと仲良く食べるんだぞ!!」
「ワイはチビちゃうけど、おーきにな!おっちゃん!!」
その後、おじさんがたこ焼きを焼いてくれている間 私はさっきの鳴くんの言葉で真っ赤になった顔を冷ますのに必死だった
《まえ|つぎ》