悪夢のその先に
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「あ!梨央!遥!読んだ?!観た?!」
最近は尽八達と食べていたこともあり 久々に遥とゆいの3人でお昼を食べていた中、思い出した様にキラキラと目を輝かせながら 私と遥に聞くゆい
『読んだわよ』
「うちはアニメ全部観たで!」
アニメや漫画が大好きなゆいにオススメされた“東京喰種”って言う人気の漫画があって、先に遥が漫画を読んで その後に私が漫画を借りて読んだの
遥はアニメの方も観たみたい
「どうだった?」
『主人公が喰種になるのは驚いたわ』
「でも人間と喰種の中間やもんな〜、大変やろな…」
遥とゆいと“東京喰種”の話で賑わっていた
ゆいと遥曰く、漫画とアニメでは終わり方が違うみたい
内容も嫌いじゃないから、アニメの方も見てみようかしら
「もし、身近な人が喰種だったらどうする?」
ゆいの言葉に遥が悲しそうな顔をした
「うちは…嫌かな…」
『新開なら大丈夫よ、あれだけ食べるんだから』
「だね、かいくんは無いから大丈夫!」
自分の彼氏を心配する遥に思わず微笑んだ
遥が最初に思い付くのが新開って、それだけ新開が好きなのね
『ゆいは荒北が喰種だったらどうする?』
私の質問に なんで荒北? って言いながらも考えるゆい
「面白がるけど、なんだかんだで受け入れるかな〜
荒北は荒北でしょ!」
「せやな〜、梨央はどーなん?」
ゆいの予想通りと意外な返答に頷いていれば、遥の質問に疑問を持った
『どうって…誰に対して?』
「もちろん、東堂に対してやろ」
『尽八が喰種だったら?』
私と遥の会話に頷くゆい
尽八が喰種だったら…ねぇ……
『うーん…そうね……、尽八が喰種ってイメージできないわね』
付き合っている訳じゃないし、どうして尽八の事を聞かれたのかわからないけど 何となくイメージできなかった
『尽八は喰種になったらどうする?』
「…また急な質問なのだな…、梨央」
あれから午後の授業も終わり、部活も終わって 部室には私と尽八の2人だけ
私はマネージャーの仕事でやり残していた仕事を終わらせていて、他の人には 戸締まりもして帰るから と先に帰ってもらった
尽八だけは 俺は梨央が帰るまで待つ! って言いながら、私の仕事を手伝ってくれていた
こういうところ、優しいわよね
『お昼に遥とゆいと話していたのよ』
2人で帰り支度をしながらお昼に話していた内容を尽八に話した
尽八は なるほど と納得して、考えながら共に部室を出て鍵を閉める
「…俺はきっと皆の前から姿を消すだろう、誰にも言わずに」
尽八の静かに言ったその言葉に、私は少し驚いた
そう言った尽八の表情が真剣だったから
「俺は皆が大切だからな、俺のせいで傷付けてしまうのならば自ら身を引くだろう
……この世で一番大切にしたいと思う人の事を考えると尚更離れる事を選ぶだろうな」
そう言った尽八は私の正面に立ち、私の頭に片手を乗せて撫でた
私の頭を撫でている尽八の表情は、ただただ真っ直ぐ私を見ながら微笑んでいた
でも尽八のその表情に、私の心の中になんとも言えないモヤのようなものがかかった気がした
その後もいつも通り、尽八と寮に着くまで話していたが さっきの尽八の表情と言葉が離れなかった
《まえ|つぎ》