君の大きな大きな安心感と存在感

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いつも通りの毎日、変わらぬ日々を過ごしているのに 急に寂しさを感じる事がある
誰かに言う様な悩みがあるわけでもない
孤独感、焦燥感といった心の中の何かが抜け落ちた様な感覚
秋も近付いてきているからなのかしら?
わからないけど、私はいつもこの感覚になった時 どうしたらいいのかわからなくなる

「梨央ー!遥ー!
荒北にベプシ取られた〜!」

「俺が買ってきたベプシだろォが!
オメーのじゃねェーよ!」

「女の子には優しくせねばならんぞ!
この俺の様にな!なぁ、梨央!」

『うるさい、尽八』

「だけど尽八の言う通り、女の子には優しくするもんだぜ?靖友」

「そうだぞー荒北ぁ!」

「そーだよー荒北ぁ!」

「オメーらに関係ねェだろ!美波も東堂の真似してんじゃねーヨ!!」

「隼人くんと梨央以外、うるさいねん!!!!」

部活前の変わらないやり取り
ゆいが荒北を悪役にしたり、荒北がゆいに怒ったり
東堂も話に入っては新開の言葉に東堂とゆいが便乗して最終的に遥が一喝する
ここに福富くんが入れば遥が一喝しなくてもよかったのに
各部活の部長が集まる部長会議に参加してるから今は居ないのよ
そんな状況を1年生や2年生、他の同級生達も口は挟まず苦笑いしながら見ている
確かに口を挟まないのが賢いわね

「寿一くんが居らんねんやからちゃんとしなあかんやろ!!
あとうちがめっちゃ楽しみにしてたプレミアムロールケーキ食べたん誰やねん!!!!」

仁王立ちで怒っている遥の迫力に負けて正座をしている荒北とゆいと東堂
そして遥の機嫌が悪かった理由もわかった
確か部活前に食べるって言って、朝練終わりに部室の冷蔵庫にコンビニで買ってきてたプレミアムロールケーキを入れてたわね
食べ物関係で遥を怒らせると大変なのよね、なかなか止められないから

「あのプレミアムロールケーキ 遥さんのだったんですか?
ゆいさんと一緒に食べちゃいました〜」

話を聞いていた山岳がニコニコしながら遥に謝る、ゆいは冷や汗をだらだらと滝の様に流れている
確か日直で朝練に来ていなかったから知らなかったとは言え あの子、やらかしたわね

「よし、ゆい 真波くん、一発ずつ殴らしてな」

「な、ならんよ!遥ちゃん!
女の子が殴るなどと!」

「なら東堂の顔面殴ってもいいん?」

「この美形を殴るのはまずいな!よし!ここは荒北の出番だな!」

「はァ!?オイ東堂!俺を盾にしてんじゃねーヨ!!
美波ィ!!オメー何どさくさに紛れて俺の後ろに隠れてんだァ!?」

「まだ死にたくないんだもん!!」

「オメーと真波がやったんだろーがヨォ!!!」

ぎゃあぎゃあと賑やかすぎるぐらい騒いでいるそっちはほっといて 1年生と2年生と3年生を呼ぶ

『今日は各自3本ローラーでアップしててね
あと福富くんが戻ってきてアップが終わったら全員集合、それから外周を走るけど タイムも測るから覚えといてね
また詳しい練習内容は福富くんと話してからまた伝えるから』

はい、動きなさい と軽く手を叩きながら言えば返事をして各自ウォーミングアップの準備をしていく
すると不安そうに泉田くんが私の元に駆け寄る

「神代さん あの…、先輩方はあのままで大丈夫なんでしょうか…?」

そう言いながら私の後ろのやり取りを見る泉田くんと共にそちらの光景を見る
かなり怒っている遥を東堂と荒北が必死で抑えているが、遥の正面にいるゆいは山岳と抱き合いながら怯えている
ゆいなんて謝りながら泣いてるし

『…はぁ、新開』

「ん?なんだい?」

ずっと私の隣に居た新開に声をかける
パワーバーを食べている新開もその光景を見ていたから、私が何を言おうとしているかはわかっているみたい

「あの騒ぎを止めたらいいのかい?」

『えぇ、新開なら遥を止めれるでしょ』

そう言えば OK とウィンクして騒いでる方へと向かっていく
これで大丈夫ね、でも心はやっぱりぽっかりと何かが空いた感覚があった









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