偽りの姉弟 (2/3)






『ユウ』

「…詩穂か」

朝飯を喰いに食堂に向かっていたら誰かに声をかけられた
その声に本当はすぐわかっていたがあえて振り向いて姿を確認した

『いい加減 姉さんって呼びなさいよ』

「…俺より身長が低いのにか」

俺のその言葉にムスッと拗ねるこいつは俺と一つ違いの姉貴の詩穂
けど俺達は本当の姉弟じゃない
詩穂の両親はアクマに殺された
そしてそのまま教団に連れて来られてきたのが詩穂だ
そして詩穂は俺達が姉弟じゃない事を知らない
詩穂は両親の死がショックで一部の記憶がない
だからいつから教団にいるのかも覚えていねぇ
そして俺はいつの間にか詩穂を好きになってた
だが俺はきっとこの想いを伝えれねぇ
なんせ今まで“姉弟”としてずっと居たからな
どんな時もずっと2人で乗り越えてきた
だからこの気持ちは伝えれる訳がねぇ



『ユウ』

「…詩穂か」

朝ご飯を食べるために食堂に向かっていれば見覚えのある人物が居た

『いい加減 姉さんって呼びなさいよ』

「…俺より身長が低いのにか」

そう言われて拗ねれば笑ってくるのは弟のユウ
私達は姉弟で私の方が一つ年上のお姉さんなのにユウは身長が低いからという理由で名前で呼んでくる
なんだかんだでいつも助けてくれる
でも一つだけ彼にも助けれない事がある
それは私の記憶
私はいつから教団に居るのかがいつまで経っても思い出せないの
思い出そうとすれば激しい頭痛が襲ってくる
その度にユウは心配するから本当は優しい事は知っている
そんな弟にドキドキしてしまう私
ユウにとっては普通に接してるだけなんだろうけど その一つ一つの動作に私は心臓が破裂しそうになる
私は恋をしてしまった
それも自分の弟に
この気持ちは絶対に伝えれない
伝えれるわけがない
絶対に変と思われるに決まってるから
だからこの気持ちは絶対に言えない








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