君の笑顔に誓うよ (3/3)






あれから詩穂を連れて部屋に戻ってきた
詩穂はいつも通り無邪気に俺の部屋でくつろいでいる
こいつのこの姿もきっと見れなくなる
手放したくない衝動にかられてしまう

『どうしたの?』

俺の様子がおかしかったからだろうか
心配そうに声をかける詩穂に俺は口を開く

「……俺はお前の傍にいる資格がない」

そうはっきりと俺は言った
ベッドに腰かけている詩穂を見れば驚いた顔をしている
当たり前か…
俺からこんな話をしだすんだからな

「……俺はいつも詩穂を悲しませてしまう
傷つけてしまう…
お前を傷つけたくないんだ…
任務から帰って来た時に怪我をした俺を見るお前が辛そうな顔をするのは見たくないんだ…
その後の無理をして見せる笑顔が辛いんだ…」

思った事を言っていく自分に驚く
こんなに自分の思いを言う事があっただろうか
詩穂は俺にとって本当に特別な存在なんだと気付く
そして本題の言葉を言おうとした瞬間 顔を伏せながら静かに立ち上がり俺の前に立つ詩穂
そして片手が振り上げられ



バチィン!



頬と手の平が大きな音をたてる
それは部屋の中で響いた
だが俺は予想外の事態に困惑が隠せない
叩かれたのは俺ではなく 詩穂が自分の頬を平手打ちしたのだ

「何やってんだ!」

俺は思わず詩穂の側に寄ると詩穂はそのまま俺に抱きついた
それも一筋では収まらない涙を流しながら…

『…馬鹿ッ…ユウの馬鹿…』

その言葉が聞こえた瞬間 俺が驚かされた
今までは恥ずかしがって呼べなかった俺の名前を呼んだから
胸が締めつけられるのがわかる
そして小さな声で泣きながら話しかけてくる詩穂に耳を傾ける

『確かにユウが怪我をして帰って来るのは凄く辛い…
でもそれより生きて帰って来てくれた嬉しさの方が大きいから辛いのだってすぐに吹き飛んじゃうよ…
それに一緒に居て悲しかったことなんて一度も無い
むしろ…』

そこで彼女はひと息ついて 今まで伏せていた顔を上げた
詩穂の右頬にはっきりと手形が残っていて 赤く腫れた頬とまだ泣いている瞳が俺を見つめる

『ユウの傍に居れて凄く幸せだよ…?
ユウが傍に居てくれて…
でも…私がユウの側に居て邪魔になるなら…離れるよ?』

笑おうとする詩穂の表情を見た瞬間 俺は強く抱きしめていた

『ユ…ウ…』

俺の名前を呼んで抱きしめかえす詩穂が愛おしい
俺はどうかしていた
俺が詩穂から離れる事で自分から悲しませているということに今までなんで気付かなかったんだ
そして俺はもう一つ大馬鹿だった

「今の言葉は撤回だ
俺がお前を永遠に幸せにする」





俺は永遠に誓おう





詩穂の傍を離れないことを






詩穂を悲しませない事を





詩穂を傷付けさせない事を





ずっと傍にいる事を






君の笑顔に誓うよ
(なんで自分を叩いたんだ?)
(本当はユウを叩こうか悩んだけど 叩きたくないって思ったから)
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ちょっとシリアスに書きたかったのですが…
よくわからなくなってしまいましたorz

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