嫉妬とガトーショコラ (2/3)






「ユウ!今年も俺と勝負さ!」

「誰がするか」

剣道の朝練を終えて教室に着いた途端、幼馴染のラビが勝負を申し込んできた
剣道の勝負なら受けて立つが勝負の内容がわかってたから断った
その内容とは

「なんでさ!どちらがチョコを多くもらったか勝負しよーさー!」

そう、今日はバレンタイン
甘いチョコが嫌いな俺からすれば一日中好きじゃない甘いチョコの匂いがあちこちからする苦痛の日
そんな日に誰が好きで欲しくないチョコの数を競わねぇといけねぇんだ
心の中で軽く悪態をつきながらもラビの言葉を一応聞きながら自分の席に座る
俺の前の誰かの席に座りながらも勝負をしようと言ってくるラビ

「そんなに勝負したいなら、モヤシと勝負すればいいだろ」

「アレンは大食いだから勝負にならないんさ!」

モヤシとは一つ学年下のモヤシ、アレン・ウォーカーの事だ
モヤシは大食いだからモヤシにバレンタインを渡す奴は2〜3個渡すのが当たり前とかで勝負できないらしい
俺にはどうでもいい事だが、ラビは3年の同学年達と勝負したいらしい

「それに今年は詩穂も含めて勝負するさ!」

「なんで詩穂も含めてんだよ」

ラビの言った詩穂とは同じ学年で去年の夏から付き合い始めた俺の彼女だ

「詩穂は男子からも女子からも好かれているから、バレンタインは男子並みに貰うらしいさ!」

確かに詩穂は美人系でスタイルもいいし、髪も短いから男っぽく見えなくもない
あいつの性格もあるんだろうけどな

「お、噂をすれば何とやらさ!
詩穂 おはよーさー!」

ラビの言葉で教室の入り口に視線を向けた
そこには既に何個かのチョコを貰って抱えている詩穂が居た
俺とラビに気付いた詩穂はそのまま俺とラビの席に来た

『おはよ ラビ、ユウ
悪いけど一旦チョコ置かせて』

「早速いっぱい貰ってるさね〜」

詩穂は挨拶をするなり俺の机に貰ったチョコを置いた
意外にも朝からかなりのチョコを貰ったみたいで困った表情を見せていた
こういうちょっとした表情がこいつは可愛いと思う

『今年もいっぱい貰うだろって思って学校着いたら袋を出すつもりだったのに、通学路の時点でチョコ貰ったからここまで袋が出せなかったのよね』

そう言ってスクールバッグから紙袋を出しては広げて中にチョコを淹れていく
去年のバレンタインはまだ付き合ってなかったから知らなかったけど、その辺の男より貰ってんじゃねぇのか?

「女の子から貰ったんさ?」

『男も女も両方よ』

ラビの言葉に普通に答える詩穂
ちょっと待て

「おい、なんで男から貰ってんだ」

『好意で渡されるなら断るつもりだったんだけど、普段のお礼って言われたから』

普段のお礼って単なる口実に決まってんだろ
詩穂はこういうところが天然なのか抜けているのか
何がともあれ、男から貰ってんのは気に食わない
それよりも人の女に気を惹かせようとしてる事が気に入らねぇ

「あ、あの」

そんなことを考えているとラビや詩穂とは違う第三者の声が聞こえて見てみれば、チョコを持ったクラスの女子が何人か集まっていた
見た感じでは俺とラビ、詩穂の分のチョコを持っている様子だった
そして1人の女子の言葉から甘いチョコの匂いに纏わりつかれる1日が始まった

「チョコ 受け取ってください…!」








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