期待の素質、発見(2 / 3)






「刀 お好きなんですね!
3本揃えるなんてどっかの賞金稼ぎみたい!」

たしぎの言葉に刀を選びながら 賞金稼ぎね… と呟く剣士だが、たしぎは話を続ける

「知りませんか?ロロノアって男です」

私はその名前に何かが引っかかった
たしぎとその剣士は話を続けているが、私はローグタウン派出所に届いていた新しい手配書を思い出していた
確かその中に海賊狩りの“ロロノア・ゾロ”の名前があった気がする
…そうだ、目の前にいるこの剣士が“ロロノア・ゾロ”にそっくりだと思ったんだ
たしぎはわかっていないらしく、海賊狩りの“ロロノア・ゾロ”に自身の想いを話すたしぎの姿を見て とりあえず今はこのままにしていようと思った
後で わかってたなら言ってくださいよ! とか言われそうだけど、このままにしていても何の危害もないだろうし、何よりその光景を見ている私がおもしろい
するとロロノアとたしぎの会話に武器屋の亭主が入ってきた

「おれァ 悪党大歓迎だぜ!?
昔はこの店も“偉大なる航路”へ入ろうって奴らでうごめいていた
だがあの化け物達がこの町を仕切る様になってからトンと客足が途絶えちまって迷惑してるぜ」

あら、また化け物扱い
いつもの事だから今更気にしないけど
するとたしぎが亭主の方に向き合った

「ス…スモーカーさんとシェリーさんは化け物なんかじゃないですっ!!」

「“悪魔の実”の能力者だ!!充分化け物さ!!
まぁ 表立って目立ってるのは1人だから、もう1人がどんな野郎かは知らねえけどよ」

亭主の言葉にロロノアが小さく何かを呟き、私に視線を向けた
もしかして気付かれているとか?
ま 気付かれてたらその時かと思い、微笑めばまた頬を赤らめたロロノア
…風邪でも引いてるのか?
でもさっきまでは普通に見えたけど

「…とにかく私は…!!」

たしぎが自身の想いを熱く言っているその間もロロノアの視線をちょくちょく感じる
…海軍だと悟られているのか?
だがたしぎが“名刀”を集め回る宣言をした瞬間、ロロノアの意識もそっちに移った

「この刀も奪うのか?“和道一文字”っつったか…」

「え!?……あ いえ違いますよ
私は別に名刀が欲しいわけじゃなくて」

『悪党に名刀が渡るのが嫌なんでしょ』

ロロノアの言葉に誤解を解こうと話すたしぎにフォローを入れた
私の言葉に そうです! と勢いよく頷くたしぎの隣を通り過ぎた私はロロノアの隣に立ち、5万ベリー均一のタルの中から何かを感じる刀を手に取った

『さっきから気になってたのよね、この刀』

手に取った刀を見たたしぎが明らかに動揺を隠せないでいる
私の隣に立つロロノアもその刀を見ている

「“三代鬼徹”!!!
これ!!……これにするべきですよっ!!!」

亭主に5万ベリーなのかとたしぎが聞いている間に、私はロロノアに持っている“三代鬼徹”を差し出した

『お前も立派な剣士なら、私と同じ 持っただけでこいつが何かがわかるはずだ』

真っ直ぐロロノアを見る私が嘘を吐いていないとわかったのか、差し出した刀を取り 鞘から抜き出した
その間に亭主が売れないと言った言葉に対し、たしぎが そんなーっ!! と言葉を放つ
だが亭主が売れないと言うのもわかる、それは

「妖刀か」

ロロノアの言葉に亭主が反応した

「知ってたのか…!?」

「いや… わかる
それに、こいつも鞘から抜き出す前に気付いてたぞ」

そう言いながら私に視線を向けるロロノアにつられて私に視線を向ける亭主

『確か“初代鬼徹”を初めとする鬼徹一派の刀は“妖刀”ではなかったかしら?』

私の言葉にさらに驚く亭主だったが、静かに言葉を紡いだ

「………そこの姉ちゃんの言う通り、“初代鬼徹”を初め鬼徹一派の刀は優れてはいたがことごとく“妖刀”だったのだ…!!!」



重々しい雰囲気で“妖刀”について話す亭主の言葉を聞いたたしぎは、“妖刀”を勧めてしまった事にロロノアに謝罪をした
その姿を見て ヒヨッ子が と静かに怒る亭主
そんな2人を見ていたら おい と声をかけられ、ロロノアの方を見た

『なんだ?』

「この刀の事を聞いて、お前ならどう思う?」

その言葉に私は思った事をそのまま伝えた

『…気に入って離さないだろうな』

「…だよな」

私の言葉に同じ思いだったロロノアがニヤリと笑みを浮かべた
そして これをもらう! と言ったロロノアに亭主が必死で止めに入る

「じゃあこうしよう
俺の“運”と三代鬼徹の“呪い”…、どっちが強ェか試してみようか…」

そう言ったロロノアの目を見て、久々に血が騒ぐ感覚の私はロロノアに声をかけた

『それでお前が負けたら?』

その言葉にロロノアは私を見た
そして軽く笑いながら、“妖刀”である三代鬼徹を回転させながら上に投げた

「…おれが負けたら所詮、それまでの男だ…な!!!」

そう言って回転しながら落ちてくる三代鬼徹の真下に自身の左腕を出した
その様子に亭主は顔を赤くしながら静止の言葉をかける
たしぎもその光景に口元を抑えながら見ている
私は根性の座った“ロロノア・ゾロ”という男にかけた
そして刀はロロノアの腕を斬らずに床に突き刺さった

「もらってく」








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