▼ 宝石を集めたアンドロメダ
2014.12.15 22:13 pc(219.110.90.10) ■お名前 祈織
■サイトURL http://johsai.xria.biz/
■お題 宝石を集めたアンドロメダ
■本文 仕事が終わると疲れた足でそのままヒールを夜の街に響かせて彼の待つバーに向かう。カランと音を立てて扉を開ければスラッとした背中がカウンターに向かっているのを見つける。
「お待たせ」
隣に座るとこっちに目をよこしてからウォッカを流し込む彼。
「残業か?」 「まあそんな感じ?」 「お疲れ様だな」
マスターにマティーニを頼むとたわいもない話が始まる。
「でね、その時その子ってば」 「馬鹿かそいつ」 「でしょー?!あはは、あれはウケたよね」 「お前後輩の失敗笑うとか最低だぞ」
うるさいなーと項垂れて飛雄はそういうことしないのと聞けばしないとの即答。
「知ってるんだぞー?女性社員に告白されたって」 「断った」 「興味ないのー?」 「ねぇよ」 「え、まさか飛雄ゲイだったの?!」 「…なんでそうなんだよ」
唇を尖らせた彼のそれをつまむ。
「嘘嘘、ごめんね?」 「ん、離せよ」
パンと手を叩き落とされて大げさに痛がれば飛雄が私の髪の毛を撫でる。
「お前の方が髪綺麗だな」 「ん?その女性社員の子より」
頷いた飛雄が可愛くて頭を撫でると飛雄はそのまま身体を乗り出して私にキスを落とす。
「…止まんね」 「んん、っ…は…ホテル、行く?」 「女がそういう事言うなボゲェ」
お金を置いて彼に手を引かれて歩くネオン街は何処か洒落たものになった気がする。 受付を通って部屋に入ると抱き上げられる。
「わっ?!」 「名前…」
ベッドに優しく倒されてネクタイを解きながら彼が私に馬乗りになる。自分からキスをすると飛雄は少し微笑んでキスを返してくれた。
「ん…」 「名前…すきだ…」 「知ってる」 「…ばーか」
毒を吐きながら髪を撫でてくる手はひどく優しくて、私はそれにゆっくり目をつむった。
「はーっ…もう無理…っ」 「は…凄え搾られた」 「搾るとか言わないで」
べちっと素肌の彼の肩を叩けば飛雄は生意気とかなんとか言ってキスをする。本当にこの人はキス魔だと思う。ナカにまだ彼の自身が入っている状態で戯れる時がなんとも言えない幸せだ。
「明日デートしたいな」 「デート?」 「うん。手繋いで一緒になんか食べて買い物したり…普通にデートしたい」 「…家じゃダメなのか」 「駄目だよ」 「チッ」
目を逸らした飛雄の頬を両手で挟んでこっちを向かせる。
「そんなに私とデートするの嫌か」 「いや、そういうんじゃねぇけど…」 「じゃあ何よ」 「は…」 「は?」 「恥ずかしいだろ…」 「…」
絶句。 顔を赤くしてまた目を逸らしたこの男はセックスやらディープキスやらは難なくしれっとした顔でするのに手を繋いでデートとかそういうのは照れるというのだ。
「なにそれ…バカなの?」 「ば…っ!」 「なんかセフレにでもなった気分だわ」 「なんだそれ」
今度は私がいじける番で早く抜けと彼の胸を押し返す。
「だってセックスはするのにデートはしないとかあり得ない」 「デートしないとは言ってねぇだろ」 「でも同じ様なもんじゃん」 「ちげーよ」 「抜いてって、ば!」 「嫌だ」 「この…っ!!」
尚更抱き着いてきた飛雄を引き剥がそうにも社会人のバレーチームで相変わらず鍛えている彼の力に勝てるわけがなく、そのまま抱きすくめられる。 ちゅっと首筋にさりげなくキスをしてくる所とか普段は酷くキュンとするのだが今は嫌なだけ。
「やだ!離れて!」 「名前、悪かった」 「私はセフレなんかじゃないの!」 「当然だろ」 「じゃあデートしてくれる?」 「っ…」 「手繋いでくれる?」 「っっ…」
じとーっと彼を見ると飛雄は苦しげな顔をしてから小さな声で肯定を示した。
「ほんと!」 「…ぁぁ」 「やったー!!!ありがとう飛雄」 「…っはぁ…」
一気に疲れたのか彼は息を吐き出してから私の頬を撫でる。
「ん?どしたの?」 「名前」 「?」 「そろそろ結婚するか」 「…………」
何故この状況でそんな大事な事を言うのでしょうか。
「最悪…」 「は?!」
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