電脳スパイス | ナノ

「げー、なにこの長蛇の列は」
「たぶんうちのっす。テニス部の」
「ああ、お店出してるんだっけ?」
「そうっすよ。焼きそば!なんと買ってくれた人はテニス部レギュラーと握手ができる!」
「だから女子ばっかりなのか」
「レギュラーは1時間交代で店番やんなきゃいけないんすよ。俺は来年もあるからなしになったんすけど」
「……大変そうだけど、儲かりそうだね」
「部長の考えることはひと味違うんすよね……」
「買ってくれてありがとー!」
「あ、あの声は……」
「お菓子魔神だね」
「ちょ、その呼び方なんすか!」
「的確に丸井を表しているとは思わないか!」
「うちの部長が魔王だから、魔神じゃかぶってるっすよ!」
「あ……ああああああ…」
「先輩どうし、なに……なんだ寒気が止まらねぇ……」
「あああ赤也……うしろに…」
「ふふ、呼んだかい、赤也」
「ぎぃぃいいいやぁああああすんませんすんませんすんませんすんません!」
「ゆゆ、幸村くんだよね!どどどうも初めまして!」
「みょうじなまえさんだよね、初めまして」
「あれ、私の名前知って…?」
「丸井と赤也の会話を聞いていてね」
「(まじあいつ捻り潰してやる)」
「ところで赤也。いつまで謝ってるんだいうるさいよ」
「すすすすんませんっ」
「申し訳ない気持ちがあるなら、客の呼び込みしてくれるかな?」
「はははいっ了解っす!じゃあなまえ先輩、また!」
「がんばれ赤也ー(心の中で合掌)」
「うちの後輩が迷惑かけてないかな」
「ああうん、全然そんなことないよ」
「なら良かったよ。そうだ、1つお願いしていいかな」
「?どうぞ…」
「俺のいないところで赤也とか丸井とかがああいうの言ってたら、こっそり俺に教えてくれないかな」
「が、合点承知ノ助!」
「ふふ、ありがとう。君、面白いね。丸井が構うのも分かるよ。じゃあね」
「はは、ど、どうも。じゃあ」

嵐のように去っていったな幸村くん。綺麗な笑顔を向けてくれたのに寒気がするなんて初めてのことだよ幸村くん。しかも接点が出来てしまったよおい。どうするんだどうしよう。どうしようもない。早々に諦めます。考えても選択肢は「従う」のみだしね!
さて一人になってしまった。校舎の時計を見上げると、文化祭が終わるまであとおよそ2時間ほど。一人で回るには少し長い。寂しいなあ。

「なまえ〜見つけたっ!」
「うわっと、千代ちゃんだ!生徒会の仕事は?」
「やっと終わったの〜今から私の文化祭が始まるの〜」
「そうかそうか」

突然現れ前から腰を抱いてきた仲良しの千代ちゃんにいいこいいこすると、へら〜っと笑った。かわいいなあ千代ちゃん。それでいて頭がよくて生徒会に入っているから友達の私も鼻が高い。何よりかわいい物や人がだいすきな私のツボだ。赤也はちょっと千代ちゃんに似てると思う。だからきっと、私も赤也を気に入ったのだろう。

「相変わらず生徒会は大変だね」
「そうなの。でも今日頑張った分明日は何もないの!だから明日は一緒に見ようね」
「やった!」

明日はテニス部と関わらずに済みそうです。

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