電脳スパイス | ナノ

「赤也そんなに食べ物持ってるなら私買わなくてよくない?」
「まだまだこんなの序の口っすよ」
「凄いねえ。まあ育ち盛りだし部活ハードだろうしね」
「先輩たちが引退したからって、練習メニュー減らしたりなんかしませんよ!」
「頑張るね」

頭をわしゃわしゃしてやるとはにかんで喜んだ。犬みたいだ、絶対尻尾ぱたぱた振ってるよ、かわいい。いんもーって言って爆笑してた丸井の気が知れない。

「先輩クッキーありますよ!家庭部の!」
「美味しそうだね、食べよっか」
「あ、いーっすよ、俺が払いますから」
「何言ってんの、誕生日プレゼントって約束したじゃん」
「一緒に出店見れるだけでいいの!先輩とは言え女子に奢らせるなんてできないし」
「赤也……!」

なんって優しくて男前でいい男なんだ!私はこんなに男子に良くされたことないよ!これがあの赤髪お菓子魔神だったら好意に甘えに甘えてお財布が空っぽになるまで食べ物を買わされていただろうに。まあ私が彼奴に餌付けしてやることなんてまずないけどね。

「じゃあ私、代わりになんかあげるよ」
「この前は面倒そうにしてたじゃないっすか」
「私も赤也のこと気に入っちゃったからね」
「へへ!じゃあ先輩が作ったお菓子がいいっす!」
「ふが」

手作りお菓子…だと…!?今家庭部手作りのたいへん美味しいチョコチップクッキーを食べているではないか…!そして驚きでクッキーくわえたまま変な声出たよ。私にもこれと同じかそれ以上のものを求められるという訳でええそれってつまりは。

「ハードル高過ぎる!無理ムリむり!」
「えー。先輩、お菓子作らない人っすか?」
「いや、友達の誕生日にケーキ焼くくらいで…」
「じゃあ俺の誕生日にも焼いてください!てことで」

結局こうなるんだよ、ああちょっと予想していたさ!でも女子の仲良しの友達にあげるのと、男子にあげるのは訳が違うわけで、気恥ずかしいというか緊張するというか!

「ガトーショコラでいいよね、ていうかガトショ以外無理だから。作れないから!」
「ガトーショコラってチョコケーキっすよね?すっげー楽しみ!」
「そんなに楽しみにしないでくださいまじで」

そんなにきらきらした目で見つめないでほしい。何でもしてしまいそうだ。切原赤也は私の弱点になりつつある。私の弟になってくれ頼むよ。


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