電脳スパイス | ナノ

「こらっ!スカートの丈が短いぞ!」
「制服のワイシャツを着ろ!私服は禁止だ!」
「まったく…文化祭だからと言ってたるんどる!たるんどるぞ!」

ただ今風紀委員会会長真田弦一郎さんが校内外をパトロール中です。目付きの悪いヤンキーみたいな姉ちゃんにも道端に唾を吐き捨てるヤンキーみたいな兄ちゃんにもそれが立海大付属中の生徒であれば物怖じせずに注意注意、注意の嵐です。彼らも最初はなんだこいつと眉間に皺を寄せるのですが、相手が真田くんだと分かり、さらに一睨みされようものなら慌てていい返事をして謝罪するのです。その姿、まさに皇帝。じゃんけんで負けて風紀委員会副会長になって、こうして彼と一緒に巡回することになった私の仕事なんて皆無です。まじで。彼一人に任せておけば済むことです。私いらないです。

「すまんな、わざわざ付き合ってもらって」
「私も一応副会長だからね」
「うむ」

会話終了…。真田くんが注意をして回るのはなかなか面白いが、人があまりいない場所を歩くときはその怒鳴り声を聞くことはない。ただ委員会が同じというだけの私たちに会話の種などもちろんない。どうやら真田くんは気を遣ってくれているようだった。それにしてもお堅い。仁王が言っていた「真田は堅物」を身を持って感じた。

「あれ?副部長となまえ先輩」
「赤也か。俺はもう副部長じゃないぞ。それと食べ歩きをするなど行儀が悪いぞ!」
「堅いっすよ先輩!文化祭なんだからいいじゃないっすか。ところでなんで一緒にいるんすか。俺を差し置いてデートっすかー?」

流石は真田くんの後輩を1年と半年ほどやってきただけはある、往なし方が上手い。ああ感心してないでじろじろと訝るような視線を送るこの子の言葉を否定しなければ。しかし、真田くんは私より先に勢いよく口を開いた。

「でででっデートだと…?何を言っておる!たるんどるぞ赤也!俺とみょうじは風紀委員という名目のもとこうして行動を共にしているだけであって、デートや交際などと言ったけしからん事実は皆無だ!そうでなければ俺がみょうじと肩を並べて歩くなどあり得ん!万が一にも起こり得ん!」

え、なんか私告白してないのにフラれた気がするんだけど。真田くん暴走してないか。赤也も声に出さずに笑っている。

「真田くんって面白い人だね」
「む?どこがだ」
「無自覚なとこがさらにいい味出してるよ」
「みょうじ、訳が分からぬぞ」
「(本当にいいキャラだよ)」


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -