電脳スパイス | ナノ

「先輩先輩!俺もーすぐ誕生日なんすよ!」
「へーそうなんだ。で?」
「でって…ええー。お祝いしなきゃねとか、何かあげようかなとか!ないんすか!」
「赤也はテニス部レギュラーだし、部長だし、いろんな人からお祝いされるだろうな!みたいな」
「俺は先輩に祝ってもらいたいんすよ〜!」
「なんでよーこの前会って話したばっかじゃん」
「先輩のこと気に入っちゃったんすもん!」
「あ、おい丸井この子どうにかして」
「ちょっとなまえ先輩〜!」

酷いっす〜と泣き真似をする赤也をどうどうと適当にあやす丸井は、どちらも時間を浪費していると思う。ま、そうさせたのは私だけど。もうすぐ赤也の誕生日らしい。しかしそんなこと知ったこっちゃない。単純に好かれることは嬉しいけどね。

「みょうじ、赤也が可哀想だろぃ」
「そーだそーだ!」
「あーうんそうねー」

この前はあのいんもー頭が、とか最低なあだ名で赤也を呼んでたくせに今は立派な兄貴面をしている。しかもなかなか様になっている。これじゃあ私がいじめっこみたいじゃないか。しょうがない、ここは私が折れるとしよう。

「じゃああれだ、もうすぐ海原祭だし、そのときなんか買ってあげる」
「もう誕生日過ぎてますよ!」
「嫌なの?」
「うー…。でも先輩と一緒に出店回れるならいっか」
「げー赤也そんなことしてみょうじと付き合ってるって噂流されても知らないかんな」
「丸井ってそういう低俗なレベルの軽口しか言えないのね」
「なんだよ俺様の天才的な知能からはみょうじなんかじゃ理解できないほどのだなあ」
「またまたー丸井先輩照れ隠しなんてしなくても、正直に一緒回りたいって言えばいいじゃないっすか」
「は!?んなわけねーだろばかか!」

丸井は吐き捨てて教室から出ていった。もうすぐ昼休み終わるのに、短気な奴だ。

「赤也、あれが照れ隠しなわけないでしょ」
「そうっすか?」
「みょうじとブンちゃんは、所謂犬猿の仲ってやつじゃよ」
「仁王いつの間に」
「いずれにせよ先輩が祝ってくれるなら嬉しいっす!」
「よかったなー赤也」

笑顔で赤也の頭をわしゃわしゃ撫でてる仁王だけど、丸井と一緒になって笑っていたくらいだから内心いんもー頭とか思ってるんだろうなと考えると、まったくほのぼのとした風景に感じなかった。

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