電脳スパイス | ナノ

「丸井、5時間目の数学の課題やった?チーズ」
「んなの天才的にやってあるわけないだろぃ。ズッキーニ」
「何も天才的じゃなか。ニス」
「写そうと思ってたのに丸井って天才的に使えないね。スズ」
「こらみょうじなんつった大体お前もやってないだろ。図工」
「俺はやってあるけん、写しんしゃい。海」
「やりー仁王ありがと!でも課題やるとか珍しいね。水」
「俺にも見せろよぃ!つーかみょうじず攻めやめろよ!ず……頭脳」
「二人で仲良く見ればいいじゃろ。鱗」
「いやいや仁王ならまだしも丸井と仲良くなんて無理。ず攻め?私そんなことしてる?構図」
「だーまたずかよ!ず、ず…ずー!!」
「ブンちゃんの負けじゃー俺はカフェオレがいいナリ」
「丸井弱いねぷぷー私はホイップメロンパンね」
「みょうじうっせデブるぞ寧ろデブれ!」

負け惜しみに傷付くほどナイーブな心は持ち合わせていないわよと高笑いするとむきーと猿みたいに威嚇しながら財布を持って教室を出ていった丸井を、仁王と二人で見送る。購買をかけたしりとりで丸井が負けるなんて屈辱に違いあるまい。

「黒幕はむしろ俺って気付いてないナリ」
「仁王ほんとナイスパス」

丸井が購買でおつかいをしている間に仁王の課題を写させてもらう。丸井と一緒に見るなんて冗談じゃない。見えねーよもっとこっちに見せろとか言ってノートを奪われるに決まっている。丸井が帰ってくる前に終えてしまおうと急いで長ったらしい証明を写していく。仁王の字は綺麗なんだけど若干右に傾いていて止めるところもはらっちゃってるようにシュッてしてて仁王らしいと思う。私のこの踊るようにばらっばらの文字は、急いでいたからしょうがないと目をつぶってほしい。

「ほらお前らカフェオレとホイップメロンパンだーあーみょうじ先に仁王の写してんなよ抜け駆けか」
「ほらもう終わったから丸井見なよ」
「まあもーすぐ昼休みも終わるんじゃが」

私はさっそくメロンパンを頬張りながら、仁王はストローをちゅーっと吸いながら猛烈な勢いで課題を写す丸井を余裕綽々と見下ろす。丸井の字はえこんな字読めんの?日本語じゃなくね?てくらい汚くてやっぱり丸井の性格も…と一人想像していたらふっと鼻で笑ってしまった。あっいけねと思うより早く丸井が「見下してんじゃねーよ後で覚えとけよ!」と一生かかってもヒーローに勝てないザコキャラの捨て台詞ととれる言葉を吠えれば仁王は「ブンちゃん頭悪そうじゃからやめんしゃい」と愉快げにからかう。こいつらといると楽だなと心の底から思う。

「みょうじにやにやすんなきしょく悪いだろぃ」

丸井はだいぶ腹立たしいけどね!

その後全部写し終える前に本鈴が鳴ってしまい、丸井が写していない箇所をどんぴしゃで指名されたときには丸井からの睨みをきかせた視線をスルーして仁王と目を合わせて笑いを噛み殺した。

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