電脳スパイス | ナノ

ただ今海原祭閉会式の真っ最中でございます。今年はテニス部大活躍だったなあ。いろいろな賞をもらって、代わる代わるレギュラーの人たちが盾やら賞状やらを貰いに壇上へ上がっていった。演劇の表彰の際、真田くんが前へ出ると早々と拍手が送られていた。真田くんは理由を分かっていないようで、思案顔で振り返ってみせた。ナイス天然。背の順で隣の仁王も行くのかと尋ねると「俺が行くように見えるか?」と問い返された。素直に首を横に振って笑い合っていると、丸井の名前が呼ばれた。

「料理大会お菓子部門で2連覇じゃ」
「繊細なお菓子作りなんて似合わないのにね」
「食い意地張っとるからのう」

壇上で生徒会長から賞状を貰い、生徒の方へ向き直りピースをすれば女子生徒がきゃあああと黄色い声をあげる。ねえ君たち、あいつのどこがいいんだい私にはさっぱり分からないよ。

「所詮世の中顔なのか…」
「きゃーみょうじ、いきなり褒めるんじゃなか」
「褒めてないよばかこのイケメンが」
「結局褒めとる」

仁王はね、まあいいよ。人畜無害とまでは言えないけど苛つくこと嫌なことをされないし。丸井は顔がいいのは認めるよ。黙ってれば少しは好印象を持てたかもしれない。でもないよ、あの性格はないよ。女子にあの物言いはあり得ないでしょ私不細工って言われたことあるんだけど。

「丸井ってさ、他の子にも悪意の塊ぶつけてるっけ」
「いんや、みょうじだけじゃ」

そんな特別全く嬉しくないし名誉でもないし!

「ねえ何でだと思う?」
「…食べ物与えてないからとか?」
「理由があいつらしくて嫌だー」

納得がいってしまった自分がいる。確かに丸井にお菓子をあげている女子はよく見かけるし、私はあげたことなど一度もない。だってたくさん蓄えている奴にあげても勿体ないし。それより丸井にあげるなんて癪だから、という理由の方が大きいけど。うんやっぱり丸井ってむかつくよね。

「すごーく気に食わないけど今度飴の1つでもくれてやろうかな」
「何、手懐けるつもりなん?」
「まさか。謎解きみたいな感覚だよ」
「……」

え、仁王何その顔目細めてじとーって視線送んないでよ。溜め息まで吐かれたし。何が言いたい。

「ま、やってみんしゃい」
「ああ、うん」

たまに仁王の行動や言動が理解不能だけど、そこはそういう人だということで自己完結しておく。

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