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部屋に帰る途中、校舎の前の木とか植えてあるやたら広い敷地をのんびりあるいていると、携帯が震えた
…なんだ、メールか
差出人は白斗で、『そろそろ王道が来るから覚悟しとけ』みたいな内容だった
わざわざ知らせんでも部屋に帰りゃあ会えるだろうに
そう思いつつこれまた矢鱈と豪華な校門付近を通ると
「うわぁあ!!なんだこの学校!!でっけぇなぁ!!」
馬鹿でかい叫び声が聞こえた
…なんだあの騒音
不愉快になりつつ音のした方を向くと、校門の向こう、つまり外に人影が見えた
恐らくそいつが先程の馬鹿でかい声の持ち主なのだろう
結婚離れた位置にいる俺に聞こえたくらいだから相当なはずだ
とりあえず様子見とばかりに無駄に植えてある木の影に隠れて観察してみる
例の冊子に書いてあった外見…王道ってやつか、ぼっさぼさの嫌悪を抱くような汚ならしい髪型に、今時某のび太郎もびっくりな瓶底眼鏡、素顔なんか見えない漫画によくあるオタクルックをしている
の癖にやたらとよく通る良く言えば元気、悪く言えば喧しい声
冊子曰く素顔は天使みたいな可愛さらしい、薫と被ってやがる
そこまで考えたところでまた例の大声が聴こえてきた
「これどうやって入るんだ!?」
どうやら彼はインターフォンの存在に気付いていないらしい
ここで助けに入るか否かは冊子にはかかれていなかった
さてどうするかと首をひねると、
「しゃあねぇな、飛び越えるか!!」
え、と思ったのも束の間、転入生は猿みたいにするすると豪華な門を乗り越えてしまった
なにあの身体能力
信じられん
呆然と転入生を見ると、彼はさも当然といわんばかりに汗のかいてない額を拭う仕草をして、堂々と学園内に侵入していった
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