少し昔の話をしよう

俺が、俺達が、この学園に入る少し前



白斗と黒哉は白黒(モノクロ)って名前の族の総長を勤めてて、俺、眞、那嘉、爽、薫は白黒の幹部だった

その時の俺らは絶頂期で、夜の町で白黒の名を聞かない日が無いくらい有名で、栄えてた


光のように白い髪を持つ白斗と、対照的に闇のように黒い髪を持つ黒哉は正反対だけど凄く仲のいい幼馴染みで、俺ら幹部はそのとなりでぎゃいぎゃい騒いだりとかして、あのときは本当楽しかった

――とある事件が起こるまでは


仲間のなかの幹部をよく思っていない総長信者の奴らが、俺達幹部を不意をついて誘拐したのだ

誘拐先でなにがあったかは思い出せないが、完全にヤられる前に白斗と黒哉が助けてくれたのは覚えてる

白斗のあんな真っ青な顔を見たのはあれが最初で最後だろう



―そしてその事件が起きた後、総長と幹部は族を解散して姿を消した、とされている

されている、っていうのはまた俺達が襲われるのを怖れた情報屋をやってた白斗が情報操作したからなのだが
俺達は自分達が思ってる以上に白斗に愛されていたらしい

兎に角、幹部達は無事に身を隠し学園に入学できた
俺を除いて

俺は何故か知らんが誘拐先で会った変態共に嫌な意味で気に入られ、他の幹部より酷く痛め付けられてた
そのせいで対人恐怖症になりかけ、かなり長い間一人で家に引きこもってたのだ
親は元から可愛がっていなかった上に不良とまでつるみだした俺を恐れ何も口を出して来なかったし、俺もそれで都合が良かったので放っておいた


そして、たまに来てた白斗や黒哉のおかげで症状もましになり今学園に来れてるわけだが
編入する前白斗に言われたこと

「眞は平凡になって入学すべきだと思う」

原因は俺の目と髪の色

俺は、何故か知らんが生まれつき髪と目の色がおかしい
毒々しい赤黒い色をしている
親に嫌われた理由はそこだ

普通の赤髪でもない色

幹部の皆は全員が生まれつき変な色の髪や目を持つ人だった
白斗曰く「仲間を集めて喋りたかった」からだそうだがよくわからない

白黒ん時は普通にさらしてたが、なんせ俺を対人恐怖症にまで追い詰めようとした理由が髪なだけに放っとく訳にはいかなかった

黒く染めて、目はカラコンで誤魔化し、前髪を長くして目元を隠した

そしたら、なんか白斗が吃驚したような顔で

「…へ、平凡だ」

とか言い出して、それを伝えられたらしい爽が乗って、今の俺…王道学園を荒らす裏あり平凡というポジションにつく予定の生徒がいる、と

後半説明大雑把だが仕方ない、説明すんの嫌いなんだ


なんで話をしたかって言うと、俺が急に冒頭で不思議発言(わざと平凡になってたからとかいう)した理由を知ってほしかったから

あん時は久しぶりに沢山の人に会っただとかで頭が混乱しててかなり危なかったからな

本当は良識ある普通の一般人なんだ、少し銃扱えたり裏世界に詳しいってだけで


まぁとりあえずそんなわけ…白斗や爽の萌心を満たすために俺は学園を荒らさなきゃならない

白斗は大体は王道クンがしてくれるだの言ってたがまずは書類を読まなきゃ話にならない

俺は深夜にベットを抜け、まだ片付けきれてない段ボールの一つを開け、出した冊子に目を通し始めた


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