駄文
2012/08/17 19:43
「ほら、行くぞ」
うー、と頭を抱えてうずくまるやつの手を引いて、戦場を見渡せる崖に赴いてみれば俺らの軍が寄越した隊は壊滅寸前だった
「なんでこんなんなるまでほっといたんだ…」
「う、うううわああああああああ!」
「…」
こんなの絶対負けちゃうよ!と喚くアルの頭を無言で叩いたのはフィルで、こいつは無口で滅多に喋らねぇ、いい声してんだけどな
「あう、あ、だって、ボクらの軍隊があんなに負けちゃうって、強いってことでしょ?ねぇ、もし、もしフィルやキリトが調子悪かったらどうしよう!?」
「おまえは絶好調そうでなによりだな」
アルは普段こんなうざい奴ではない、いや普段からうざいが基本面倒臭そうに本読みながら転がってたりする
「あ、う、ううう」
「ほらゴタゴタ言ってねぇで行けよ、フィルもついてってやるし、1時間後にゃ絶対帰れっから」
普段はやる気なく垂れたアルの灰色の目が赤く光ってる
発作が起きるとこうなるんだよなぁ
しかしやばいこれ俺まで被弾する
「ゾーン作るんだったらなんか言えよな!」
「だ、だって言ったら敵と間違えたとか言ってボクをこ、殺してたかもしれないじゃん!」
「うるせぇんなことすっかよ早く行け!」
キリトのバカと叫びながらアルは崖から飛び降りて行った
ゾーン張ると起きる謎の病気はどうにか出来ねぇのかな…
とりあえずまぁ、そのまま武器もなにも持たず敵に向かって走り出すアルに、気付いたらしいまだ生き残っていた隊の奴等が必死に逃げていく
懸命な判断だな、さて
「フィルも行け」
「…」
こく、と頷いてアルに続くフィルは念のためってやつで、アルは能力が不定期に切れるからいきなり役立たずになったりする、最近戦闘中に切れることはあんまり無くなったが
戦場を覗けば頭をおさえてうずくまる奴等が沢山転がっている、ひどいやつは…あれ多分もう死んでるなぁ
アルの能力はイミテーション、自分が感じてる幻覚とネガティブを人と共有することができる、らしい
俺はなったことないが敵の兵士やアルを見てると相当酷いんだなぁと思う、アルは慣れてるらしいが初見さんはまず脳死って慣れててもかなりキツいだろう
それでも運よくゾーンからはみ出てたやつは後ろに控えてるフィルに気付いたらしい、みんな仲良くフィルに飛び掛かっていってる
フィルはちょっとあたりを見てから鼻下まで引き上げてたマフラーを下げて、
「かべ」
と言った
すると地面からゴゴゴゴと音がして不思議な液状の物質で出来た壁がフィルのまわりに建ち並んだ、うわぁフィル見えねぇ
飛び掛かっている途中に壁がいきなり出てきたもんだから兵士らは壁にぶち当たって飲み込まれてんな、ご愁傷さま
「ふ、あははは!ぎゃははは!ばーか、ば、ばーか!ボクを殺そうとしたろ?むり!むぅーりっ!お前らみたいな雑魚なんてみんな脳みそ吹っ飛んで死ねばいいんだ!」
うん、アルは絶好調だなぁ
頭をおさえた兵士らの中をくるくる舞うアルは金髪の好青年って外見もあって中々きれいだ、言ってることがアレだが
「かべ、かべ、かべ」
ぶつぶつ言ってるフィルのまわりにはわからん物で出来た壁とそれに埋まった兵士達というよくわからん光景が広がっている
壁を避けてうまく背後にまわった奴も「…はり」と言われて身体中を串刺しにされて…ってフィル以外とグロいことすんなぁ、アルの影響受けてんじゃねぇか?
とかなんとかいってる間に1時間、経過
いきなりしぶとく生き残っていた敵の兵士らはいきなり身体中の穴という穴から血を出して倒れ、動かなくなった
「あれ、もう1時間?早すぎ!ボクがいっぱい倒して羨ましいからって時間早めたんじゃないの!?」
「…つかれた」
「はーいお疲れーっす、あと時間ははやくできないぜ、帰るぞ」
俺の能力は1時間後に絶対起きることを決められる、うん、その代わり24時間能力が使えなくなるが、他に違う能力持ったやつ沢山いるし問題はない
アルは品詞以外なら話せる、普通に話すとボロが出るから話すのを制限されてるが
ふ、とフィルを見たら赤い目が灰色に戻ってた、あ、能力切れたな
「…だる、はやく帰ろ」
「じゃ早く来い」
さて、上官に報告すっかな
的な?あ、かなり前に書いた厨二設定の小説です
時間を置くと簡潔に終わらせたくなるからいけない