君と友達になりたかった。幼い頃に見た神々しさが脳裏に焼き付いて離れない。虹色の羽は陽の光にきらきらと輝いていた。ずっと昔から、君に会うためだけに修業を積んできた。始めは強制されていた修業にも自分から行くようになった。坊主から君に会えるのは相応しいものだけと聞いたから。僕らはきっと友達になれる。その背中に乗せておくれ。今まで見てきたものも、寂しかったことも嬉しかったことも教えておくれ。天地を揺るがすその声で。





選ばれし子供、奇跡の子供。そう言われる度に心臓が押し潰されそうになった。やめて、そんな名前で呼ばないで。どうしようもない罪悪感に押し潰されそうになる。私は舞妓さんや博士が思うような子じゃないの。ホウオウ、ねぇ、あなたは何で私を選んだの。私よりももっと、あなたを望んでいる人がいるのに。私はそれを望んでいるのに。





狂いそうになった。夢は目の前で砕かれた。何年も何年も何年も何年も何年も、待っていた。あの双眼は僕に向けられるものだと信じていた。金色の嘴を撫で、擦り寄せられた頭を抱えてあげようと。こんなに低い場所から見上げても彼の美しさが霞むことはなかった。鈴の音と舞妓さん達の踊りが見えたとき身体が嫌な汗を吹き出した。砕かれた。あんな、トレーナーに成り立ての子供に。





マツバさんは変わったと、町の人は言う。変わったんじゃない。変えてしまったんだ。私が。ホウオウは捕まえなかった。だけどもう駄目だ。ホウオウが選んだのは私。この先主を変えることはない。彼の夢を奪ってしまった。あんなに優しい人の、あんなに強い人の。

(時間があるときは遊びに来るといい。一緒に修業しようよ。)

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…、





あんな子、いなければよかった





私なんか、いなければよかった




誰が悪いわけじゃない。誰もが平等に疎かで淋しいのである。このまま崩壊に向かって歩く、一歩手前から。


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