大海原に靡く国旗と船は随分小さくなった。快晴、海もいつもより穏やかだ。せめてあの人が家に帰るまでは荒れないで欲しいと思う。船はもう地平線の向こうに消えてしまったが、何だか動く気にもなれずに海を眺めていた。これでまた暫く逢えないんだろうなあ。フランシスさんは抱えきれないほどの薔薇と食料を持ってやってきた。何日かバカンスをした後、上司さんに呼ばれて慌ただしく帰って行った。また黙って出てきたんだろう。顔を青くしながら電話をするフランシスさんを見ながら馬鹿だなあと思った。だけど逢いに来てくれることが一番嬉しいから、言わない。引き止めないのは、彼の望む場所でいるため。

「花は食べれねーですよ」

横に置いた大量の薔薇から一輪抜き取る。どうしてくれよう。顔に近付けて香りを吸い込むとフランシスさんの匂いがした。

嘘、さっきまで一緒にいたのに。もう逢いたいなんて、カジキマグロもびっくりだ。

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恋愛感情ってよりブラコンっぽいセーちゃん

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