モノクロの神秘
「わぁっ…!」
「うおぉ!」
真っ黒のレンズに浮かび上がる白いリング。それを見た士郎とアツヤはほぼ同時に感嘆の声を上げた。
「こんなことって起こるんだね…」
「あぁ、いいものが見られたぜ!」
「そうだね!…あっ、欠けてきちゃった」
綺麗なリングが見えたのはあっという間で、徐々に欠けてしまい士郎は残念そうに呟いた。
「でも、短い間しか見られないからこそ価値があるんだろうなぁ…」
「そっかぁ、そうだよね…こんな素敵なものが見られたことに感謝しなきゃ!」
兄の言葉を聞いてからアツヤは何気なしに壁に掛かっている時計を見る…と、学校に行く時間が迫っていることに気付き、慌てて(のんびりレンズを覗いている)士郎に声をかけた。
「お、おいっ!兄貴!時間!」
「え〜?……わっ、本当だ!急がなきゃ!」
二人は並べて置いてあったかばんをひっつかみ、バタバタと家を出た。
「「いってきまーす!!」」
その日の朝、学校では金環日食の話題で持ちきりだったそうな。
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金環日食見てるときにこれが浮かんできてメモ書きしました。(一日遅れちゃったけど)ほんと綺麗でしたね…!