ひだまりと星空
 

二月に入り、余計に気温が低くなってきた。オレはいつものように部活が終わったあと、先輩二人に指導をしてもらっていた。練習中、オレのシュートがなかなか入らず休憩することを提案してくれた士郎先輩と一緒にサッカー場のベンチに座る。持参した温かい麦茶を飲んだら少し落ち着いた気がする。一息ついて考える。シュートが入らなかったのは何が原因なのか。体勢か動きか…はたまた違う何かか。考えてばかりでは何の解決にもならないので、練習に戻ろうかと思ったら、士郎先輩がぽつりと呟いた。

「お鍋食べたいなぁ…」
「…………え、」

二人分の白い息が空に消える。いやいや、急にどうしたんだこの人は。

「雪村、お鍋食べたくない?」
「いや、今は別に…」
「えーっそうなの?僕は食べたいなぁお鍋。豆乳鍋がいいかな、カレー鍋かなトマト鍋かな……あっ!アツヤお帰り〜」

士郎先輩は鍋の種類を考え始めたかと思うと急に立ち上がり、手を振りだした。士郎先輩の目線の先には、アツヤ先輩の姿が。近くのコンビニまで買い出しに行っていて、丁度今帰って来たらしい。

「おぅ、ただいまー」
「ねぇ僕お鍋食べたい!」
「鍋かぁ、いいな。じゃあ今夜は鍋にすっか!」
「やったー!そうだ、雪村も一緒にどう?」
「い、いいんですか…?」
「もちろん!いいよね、アツヤ?」
「まぁ、士郎がいいならいいけど」
「じゃあ決まりだね!」

こうしてオレは先輩宅にお邪魔して鍋をご馳走してもらうことになった。


***


「肉入れるぞー!」
「よしきた!」
「野菜もちゃんと食べましたよ…!」
「おーおーよくやった雪村!もっと食べていいんだからな〜」
「が、頑張ります…」

あの後、三人で近くのスーパーで買い物をして(先輩二人はカレー鍋にするかトマト鍋にするかでケンカしてたけど、オレが提案した豆乳鍋で落ち着いた)、先輩の家に行った。思ったよりも近かった。鍋の下準備やらなにやらは全部アツヤ先輩がやってくれた。アツヤ先輩の料理の腕はすごいって士郎先輩が言ってた。士郎先輩は料理出来るんですか、と聞いたら、全く出来ないと言った。(オレはてっきり逆だと思ってた。)こんな他愛もない話を炬燵でした。オレの家には炬燵がないから、なんだか新鮮だった。

「アツヤ、ごまだれ取って〜」
「ん」
「ありがとー」

先輩二人と一緒に鍋を食べたら、心も身体も自然と暖かくなった。明日からの練習を頑張ろうと思った。前に進めるような予感がした。

『ごちそうさまでした!』




―――――――――
ネタ(おこたで鍋)提供:リア友E

せっかくネタを提供してくれたのに活かしきれてない…!雪村のキャラと話し方が定まっていません。オチはお鍋に入れてしまいました。


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