淡いピンクに赤いレースの可愛らしい封筒。
表には"緑川リュウジ先生へ"というまた可愛らしい文字。
このようなものは女子がやると容易に予想が出来る。


「緑川に…ラブレター!?」
「はいはい、どうせお前ほどモテないよ」


驚きをみせるヒロトにイラだちながら肩を叩く。
案外痛かったらしく若干目に涙を浮かべている。


「で、誰から?」
「…藤野紫苑」
「あぁ、緑川のこと大好きだってよくいってる子か」


ヒロトの言うとおり、
この手紙を寄越した藤野紫苑という少女はリュウジの事が好きだ好きだと言っているのだ。
卒業を控えた今でも、3年間、変わらずに。


「いつも思うけど、可愛いよねあの子」
「お前が言うとあやしい」
「誉めないでよ」
「誉めてない」


長年側にいるがいまだに彼がよく分からない。
なんというか、たまらなく気持ちが悪い事がよくある。


「せんせー!」


ガラガラと大きな音を立てて職員室の扉が開く。
強く開けた反動でその扉は少し閉まりかけた。


「藤野さん今日も元気だね」
「はい!リュウジ先生がいるので!」


ヒロトの言葉にそう答えるとリュウジの机に直行した。


「先生、手紙見てくれた?」
「いつも言ってるけどオレ達は教員と生徒だよ」
「愛があれば関係ない!」
「関係あるの」


忘れた人に念のため言っておくがここは職員室だ。
何度このやり取りをしているのだろうか。
隣で笑うヒロトも何度も見ている。


「じゃあ先生!」
「なに?」
「5日だけちょうだい。
5日で先生にわたしのこと」


紫苑はぐい、とリュウジの腕をつかんで屈んだ体勢になった彼の耳元に口を寄せた。



「惚れさせてみせるから」








1日目


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